「親が介護施設に移ったので空いた実家を人に貸す」それ、大損することになります
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。 【マンガを読む】オペ室看護師が見た、衝撃の「生死の現場」 〈第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識〉、〈第2部 今日から始める生前準備のすべて〉、〈第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える〉の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 『亡くなってからではもう遅い…50代の人がやりがちな「間違った親の見送り方」』より続く
60代:相続税をゼロにする「裏ワザ」
Case6:父が亡くなり、6000万円の遺産を母子2人で分けた 60代では、多くの人が親からの相続を経験する。男性のほうが平均寿命が短いので、父親が先に亡くなるケースが一般的だ。残された財産をどう分けるのか―ここを間違えると大損をする。 「父の財産は合計6000万円あり、初めは母がすべて相続するつもりでした」(佐藤博文さん・61歳、仮名) 父親の相続では、遺産をすべて母親がもらうという判断をしがちだ。夫から妻、妻から夫への相続では1億6000万円まで相続税がかからない「配偶者控除」も使える。
亡くなった夫の財産はすべて妻に相続すべき?
しかし母親が亡くなった後の相続で、問題が起きる。たとえば佐藤さんの場合、母親は自分の貯金を800万円持っていたという。母親の死後、一人息子である佐藤さんが財産(6000万円+800万円)を相続すると、440万円もの相続税が発生してしまう。 「ポイントは父親の死後に残される母親が、どれだけ財産を持っているかです。母親が十分に暮らしていける現金を持っているなら、父親が亡くなった後の相続では子供にも財産を分けたほうが得になるケースが多いのです」(税理士・橘慶太氏) 佐藤さんは税理士の助言を受け、母親が自宅(4200万円)を相続し、佐藤さんが現金1800万円をもらったという。このとき、佐藤さんは54万円の相続税を納めている。 そして3年後に母親が亡くなり、佐藤さんは160万円の相続税を払った。トータルで納めた相続税は214万円。父親の遺産を分けてもらったことで、佐藤さんは200万円以上も納税額を減らすことができたのだ。 「母親の年齢や子供の数も考慮する必要があります。分け方ひとつで納税額は大きく変わるので、まずは税理士に相談をしましょう」(橘氏) 答え→〇。次の相続まで考えて、子供も財産をもらっておく。