「自分と他人と比べて、落ちこみやすい子」が ”そうじ”で変わる理由
友だちやきょうだいと比べて、自信を失ってしまう……。他の人と比較するクセは、自己肯定感を下げる事に繋がることも。 そうじ力研究家の舛田光洋さんが、「そうじ」が自尊心を強くするのに最適だと感じた体験談を、著書『賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力』より抜粋してご紹介します。 ※本稿は、舛田光洋,宮本さおり著 『賢い子の「そうじ力」 そうじで身につく集中力、思考力、判断力』(日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです
「できたこと」を数えて自尊心を強くする
我が子の幸せを願い、少しでも勉強ができるようになって欲しいと頑張る親御さんもいます。都会では、幼稚園や小学校低学年のうちから塾に入れる家庭もあります。塾に入るとどうしても、他の子との実力の違いなどが気になってしまいます。 「他の子はできているのに、うちの子は、どうして?」 「なかなか順位が上がらない」 「○○ちゃんは、いつも成績がいいのに」 このような他の子と比べてしまう言葉がつい出てしまうこともあるでしょう。そして残念なことに、子どもは、通っている塾の先生から心ない言葉を浴びてしまうこともあるのです。 舛田家には男女合わせて3人の子どもがいます。その中の1人、末っ子の長男は小学生のときの先生の言葉によって心が折れかかった経験があります。彼は算数が得意で、上位のクラスにいました。 ところがある日、クラスが1つ下がってしまったことがあったのです。本人は、とても残念がっていましたが、私は静かに様子を見守っていました。 息子は、なかなかこの成績の落ち込みから立ち直れず、気持ちも塞ぎ込んでいるようでした。そこで、様子を聞いてみると、なんと学校の先生から心ない言葉をかけられていたのです。 「おまえは上のクラスには戻れないよ」 そうしたマイナスの言葉を「なにクソ」とバネにして力に変える子もいますが、息子はそうではありませんでした。先生から言われたこの言葉が心にグサッと刺さってしまい、そこから気力が下がってしまっていたのです。 また、舛田家の末っ子ということも息子の自己肯定感を弱めていたのかもしれません。上の姉2人は成績も優秀で、学校でも「あの舛田姉妹の弟」と、周りから見られることもあったようです。 親はどの子もかわいく、同じように接しているつもりなのですが 「僕は舛田家のお荷物だ」 などと言うこともしばしばありました。なかなか塾でクラスが上がらずに落ち込んでいた息子が、ある日 「自分は記憶力がないから上のクラスに戻れないんだ!」 と言い出したのです。しかし、私はこの子に記憶力がないなどとは思っていませんでした。今までの息子をずっと見てきたから、そう言えるのです。 なぜなら、好きな戦隊ものの名前や、何百とあるマンガのキャラクターを覚えていたからです。「あんなにたくさんの名前を覚えられるのだから、記憶力が決して悪いわけじゃない。好きなものを記憶する能力は長けていると思うから、『自分は記憶力がない』なんて思わなくていいよ」 私はそう彼に伝えました。 でも、いくら私がそう伝えても、なかなか立ち直ることができないようでした。君は君のままで素晴らしい、君には君にしかない良さがあるんだと伝えても、それが伝わりません。なぜなら、彼の自尊心を低下させているのは、人との比較だったからです。