堤麗斗、全日本選手権初優勝でアマ9冠に 井岡一翔、兄・駿斗らが所属する志成ジムから来春プロ転向へ
ボクシングの全日本選手権最終日は1日、東京・墨田区のひがしんアリーナで男女各階級の決勝が行われた。男子ライト級はアマチュア8冠の堤麗斗(22)=東洋大4年=が、藤田大夢(拓大)に1回2分8秒RSC勝ちして初優勝。アマチュア13冠で、WBA世界スーパーフェザー級9位の兄・駿斗(はやと、25)=志成=に続く兄弟での全日本選手権王者となった。男子最優秀選手賞も受賞した。 モノが違った。堤が1回に3度目のスタンディングダウンを奪うと、レフェリーはノーカウントで試合を止めた。堤は小さくガッツポーズし、笑顔でセコンドと喜びを分かち合った。 「ちょっと初戦から少し硬さもあって、なかなか納得のいく試合は最初の方はできなかったんですけど、徐々に修正していって、最後こういう形で終われた。今はすごくほっとしている」 サウスポーの堤は出だしから多彩なパンチで藤田を圧倒。左ストレートでスタンディングダウンを奪うと、カウンターの左ストレートでスタンディングダウンを追加。最後も左ストレートをクリーンヒットし、試合を終わらせた。 11月28日の初戦の準々決勝、同30日の準決勝では5人のジャッジ全員が、すべての回で堤を支持する圧勝。この日は1回でRSC勝ちし、圧倒的な強さで日本一となった。兄は千葉・習志野高3年だった2017年大会と、東洋大2年だった19年大会を制しており、兄弟での全日本選手権優勝の快挙を達成した。 麗斗は極真空手からボクシングに転向した小学5年時から、兄以上の逸材と期待されてきた。習志野高時代に高校5冠を達成し、東洋大1年だった21年4月に世界ユース選手権の男子ライト級で優勝。習志野高時代の16年に男子フライ級を制した駿斗以来、2人目の快挙だった。 今夏のパリ五輪での金メダル獲得を目指していたが、22年4月にプロ転向した兄の活躍を見て、プロへの思いを強くした。アマチュアボクシングへのモチベーションの低下により、昨年2月のパリ五輪予選を兼ねる杭州アジア大会の男子フェザー級代表決定戦を欠場。初出場だった昨年11月の全日本選手権では、初戦の当日計量で体重超過により不戦敗となった。 アマチュアボクシングの集大成となる最後の大会だった。「『パリ五輪で金メダルを取る』っていう目標で大学に行ったんですけど、自分自身の甘さがすごくあった。それでも諦めずにサポートしてくださる人がいたり、応援してくださる方がいたので、その人たちに最後、どうしても応えたかった」と初優勝をかみ締めた。