発達障害がある2児を育てる、シングルマザーの児童精神科医。精神科のハードルを下げて親の心に寄り添いたい【精神科医さわ】
家は家族みんなの安全基地でありたい
――2024年6月に出版した著書『子どもが本当に思っていること』の中で、「親はただそばで笑っていればいい」というメッセージが印象的でした。先生自身が笑顔で子育てするために心がけていることがあれば教えてください。 さわ 私は、子どもが子どもらしくいられることをすごく大事に思っています。親になると、子どもはこうするべきとか、人に迷惑をかけるべきではないとか、いろんな「~べき」にとらわれてしまいがちですよね。 でも子どもって、そういうのを打ち破って非常識なことをするものです。わが家の場合、まず片栗粉は子どものおもちゃにされます。二女はYouTubeなどで見た片栗粉の実験を、自分でも実際に試してみたい、と、いろいろと試して遊んでいます。それに、キッチン用具がいつの間にかおふろ場に移動していることもあります。見つけるとちょっとびっくりしますが、私はおふろ場でキッチン用具で遊んでもいいと思っているので、自由にさせています。 そんなふうに大人の常識や価値観を子どもに当てはめようとしすぎないことを意識しています。たとえば日本では箸を使って食事するけれど外国では手で食事するところもあるように、大人が常識と思っていることは、場所が変われば常識ではなくなる、という感覚を大事にしたいです。 ――常識にとらわれすぎると親も苦しくなるのかもしれませんね。 さわ 生きていれば大人でも嫌なことがありますよね。私も子どもたちも、外で少し嫌なことがあったり、傷ついたりしたときに、お互いに「そんなこともあるよね」となぐさめあえる関係であることも大事だとも考えています。 家庭が、私たち家族の心の安全基地でありたいと思っています。私自身も子どもたちに癒やされているし、子どもにとっても私の存在が癒やしになっていたら、そんなに幸せなことはないと思います。 お話・写真提供/河合佐和先生 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部 クリニックの診察、YouTubeなどSNSでの発信、子育てと忙しい毎日で、さわ先生は「苦手な家事は人に頼んでいる」と言います。「料理は得意じゃないので、家事代行を頼んでいます。その時間、私は子どもと楽しく過ごす時間に充てたいと思っています」と話してくれました。