人生100年時代、老後資金をどう備える?就職氷河期世代、退職金が出ない人…それぞれの備え方をファイナンシャルプランナーがアドバイス
厚生労働省によると、2024年度の国民健康保険料の上限額は106万円で、2022年から3年連続で引き上げられたそう。このような状況のなか、ジャーナリストの笹井恵里子さんも「自治体から保険料決定通知書を受け取った時、あまりの金額の高さに絶句した」と語っています。そこで今回は、笹井さんの著書『国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】定年後はあなたも国保!制度の仕組みから国保料を下げるポイントまで一挙紹介。笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』 * * * * * * * ◆将来の「退職金」を作り、所得を下げる 自営業者やフリーランスなどの個人事業主、零細企業には退職金がない。 「ですから、税金の控除を受けて節税をしながら退職金を積み立て、将来のリタイア後に備えましょうという制度が2つあります」と、ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏が説明する。 「ひとつは小規模企業共済です。ここに加入して掛金を支払えば、その支払った掛金全額が所得控除の対象となり、引退(退職、廃業)した際に払い戻されます。月々の掛金は1000円から7万円まで500円単位で自由に設定が可能で、満額なら年収から84万円が控除になります」 扶養控除などと同様に所得から支払った掛金を控除できるので、所得税、住民税を安くする節税効果があるということだ。 またもし資金繰りが厳しい時は、それまで自分が支払った掛金から算定した限度額まで貸付を受けることもできる。ただし20年以上加入しなければ損してしまうこともあるので、目先の節税にとらわれず、十分に検討してから加入したい。
◆90歳まで生きるのが当たり前になる時代 もうひとつは「個人型確定拠出年金(iDeCo)」だ。 「自分が支払った掛金を自分で運用し、資産を形成する私的年金制度です。こちらも月々5000円から始められ、掛金を1000円単位で自由に設定でき、掛金とその運用益との合計額を60歳以降に受け取ることができます。もちろん税優遇もあります。先の小規模企業共済と併用も可能ですから、2つ合わせるとかなりの節税効果があるのではないでしょうか」 内藤氏は国保料が上がることを恐れず、“稼ぐ手はゆるめない”ことを推奨する。上記2つの節税対策では国保料は下がらないが、これで所得税と住民税の負担が軽くなる。 「昔と違って70歳で人生を終わりにできない、90歳まで生きるのは当たり前という時代です。60歳で定年退職したとしたらあと30年以上生きなければならないのです。自分の稼ぐ力をフルにして引っ張ること、身の丈にあった生活で楽しむ能力が大切だと思います」(内藤氏)