人生100年時代、老後資金をどう備える?就職氷河期世代、退職金が出ない人…それぞれの備え方をファイナンシャルプランナーがアドバイス
◆年代別のアドバイス 会社員を含め、年代別にアドバイスをいただいた。 「すでに60歳を超えている人、もう会社の定年退職間近な人の多くは“勝ち逃げ”組です。どういうことかというと、高度成長の残滓(ざんし)をひきずる頃に現役で、バブル崩壊後もそれほど給料が下がらず、預金金利が高かった時代。“つみたてくん”などで頭金をつくって、住居を購入できたでしょう。退職金だってしっかりもらえる。 でも50代より下は同じようにはいきません。特に50代は上の世代をみていて『自分たちも』と思うかもしれませんが、そういった希望は捨て、少なくとも年金が受給開始になる65歳までしっかり働いて貯めてください」(同) 会社員の場合、60歳以降は希望すれば同じ職場で働けるが、給与は下がっていくことを心したい。 「60歳から65歳まで基本的には年金がなく、収入は半分になると思ってください。悠々自適に生活していると退職金もどんどん減ってしまいますから、60歳以降は半分の生活費で暮らせるようなスタイルになるといいですね」(同)
◆“不景気の時代”を生きてきたことは強み 私を含めた40代に、今後の注意点はあるのか? とたずねると、意外にも内藤氏は「現在30代40代の世代は“不景気の時代”を生きてきたため、それが強みである」という。 「年齢とともに収入が上がることを期待しない世代でしょう。ある意味、堅実です。ただし結婚や出産などで働き方をペースダウンしたり、仕事を手放してしまった人も多いのではないでしょうか。今からでも遅くありません。働ける人は働く、そして自分の子ども世代には仕事は手放すな、と伝えてほしい」 就職氷河期を経験した世代は、共働きも転職も当たり前。時代とともに否応なく変化してきた。言い換えると、どんな環境でも働き続けるスキルがあるということかもしれない。 しっかり働いて稼いで、国保料を含めた税を納付し、利用できるものは使っていく。弱い人たちには寛容に接し、次の世代に皆保険制度をつないでいく。 そんな生き方を楽しみながらできたら、かっこいいという気がした。 ※本稿は、『国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
笹井恵里子