“効率厨”は不幸?仕事の効率ばかり意識する人が知らない「本当のタスク管理術」とは
目的(ウェルビーイングの持続)と手段(タスク管理)を混同すると、本来の目的を見失ってしまうリスクがあります。 目的と手段の混同をわかりやすく示した有名な話に「メキシコ人漁師とハーバード大卒のMBAコンサルタントの出会い」があります。簡単に紹介します。 ある漁師は1日の数時間で漁を行い、残りの時間は家族と過ごしたり趣味を楽しんだりしていました。それを見た青年は、漁師にもっと長く漁を行い、より多くの魚を捕まえて大きなビジネスを築くことを提案しました。ただし、それには15~20年かかります。その後、豊かになって引退すれば、家族との時間や趣味を楽しむことができると青年は説明します。しかし、それは漁師がすでに実現している生活でした。 仕事を効率化できれば、稼働時間が短くなり疲れにくくなるだけでなく、趣味や好きなことをしてリフレッシュする時間や、家族とゆっくり過ごす時間を作ることができます。つまり、漁師の今の働き方こそが、ウェルビーイングを維持している状態なのです。 ● ウェルビーイングの持続ために 必要な「PERMA」とは タスク管理の目的がウェルビーイングの持続だと言うと、大げさに感じるかもしれません。 タスク管理は、どれだけの時間を何に使うかを決める重要な行為です。ここでの「時間」とは、私たちに与えられた寿命そのものを指します。したがって、限りある時間を管理することは、実質的に寿命、つまり人生そのものを管理することに他なりません。 私たちが人生を管理する目的は何でしょうか。 それは、幸福に生きることです。 そして、私たちが求めるのは一時的な幸せではなく、持続的な幸福ではないでしょうか。 ウェルビーイングは、「ポジティブ心理学」の創始者であるマーティン・セリグマン博士によって5つの構成要素が定義されています。次に挙げる要素の頭文字を取って、「PERMA」(パーマ)と言います。 PERMA P ポジティブな感情――Positive Emotion 楽しさや喜びといった「快」を表す感情です。例えば、散歩中に道端に咲く花を見て楽しむと、ポジティブな感情が湧き幸福を感じます。 E 没頭――Engagement 時が止まる感覚や没我の充実した感覚です。例えば、スポーツをしているとき、間が経つのを忘れるほど集中し心地よい没頭感を味わい、幸福を感じます。