純血統のイベリコ豚はわずか2%だった!プロに聞いた「本場の生ハム」の真実
レストランのメニューに載っていることも多い「生ハム盛り合わせ」。 だが、盛られている生ハムの違いを分かっているだろうか。「生ハム好きなんだよね~」と言いながらも、なんとなく食べている人も多いのでは? ▶︎すべての写真を見る
そこで本場スペインの生ハムのスペシャリストに、意外と知らない生ハムの真実を教えてもらった。
日本の生ハムは本場の生ハムと定義が違う
ーーそもそも生ハムとは何ですか? 生ハムの「ハム」とは、スペインやイタリアで、豚の後ろ足を意味する「ハモン」からきています。 本場では加熱せず、塩漬けにした豚もも肉を、乾燥させて何年も熟成したものが生ハムで、もともと14kgくらいあった肉が8kgくらいまで凝縮していきます。 ただ、日本の生ハムにあたる非加熱食品規格は「塩漬剤または塩漬液を用いて原料肉を低温(0度以上、10度以下)で7日間以上塩漬すること」となっていて、よくスーパーで見かける生ハムは、調味液につけて1~2週間で出来上がります。 ちなみに日本の分類では、生ハムは「ラックスハム」と表示されます。作り方は全然違うのですが、日本では熟成した生ハムも、塩漬液に漬けた生ハムも、全部「ラックスハム」になってしまうんです。
ーースーパーで売っているものと、本場の生ハムは全然違うものということですか? そうですね。だから、こだわりのある生産者の中には「日本は生ハムに詳しくないよね」と輸出をためらう人もいるんです。
本場の生ハムの違いとは?
ーーそれは何だか悔しいですね。では、本当の生ハムについて教えてください。というか、そもそも種類が多すぎて、何が何だかわからなくて。 まず呼び名が違うのは、生産国と作り方が微妙に違うためです。実際に主な生ハムを見てましょう。 ① プロシュート イタリアで作られた生ハムです。豚の皮を削がずに熟成させるため、しっとりとやわらかいのが特徴です。一般的な生ハムは「プロシュート」、イタリアのパルマ地区でのみ生産されたものは「プロシュート・ディ・パルマ」と呼ばれます。 ただし、イタリアで家畜伝染病が発生したことで、日本は2022年からイタリアからの豚肉等の輸入を停止しています。ですから、今、市場に出回っているプロシュートがあるとしたら、アメリカ産だと思っていいでしょう。