純血統のイベリコ豚はわずか2%だった!プロに聞いた「本場の生ハム」の真実
② ハモン・セラーノ スペイン産の生ハムです。スペイン産の白豚をひづめをつけたまま、V字に皮を削いで熟成させます。硬めの質感で味が濃いのが特徴で、原木からナイフで切り出して盛り付けるのが本場のスタイルです。 ③ ジャンボン フランスで作られた生ハムです。乾燥熟成期間が4カ月未満のものを「ジャンボン・クリュ」、4カ月以上のものを「ジャンボン・セック」と呼びます。イタリアと同じく、皮付きのままで熟成させるので、しっとりとやわらかい生ハムです。 日本では混同されがちですが、パンチェッタは豚のバラ肉、コッパは肩ロースを使った生ハムを指し、ヨーロッパでは別モノなんです。
イベリコ豚はどんぐりを食べるってホント?
ーー日本だと全部生ハムになっちゃうけど、全然違うんですね。 ちなみに、スペインの生ハムについてもう少し説明すると、ハモン・セラーノとは別に、イベリコ豚というスペインとポルトガルにまたがるイベリア半島原産の豚を使ったハモン・イベリコという生ハムがあります。 ーー知ってます! 確か、どんぐりを食べさせて育てているんですよね? 日本だとそう伝わっていますよね……。まず、スペインではイベリコ豚と名乗るための規定があって。 イベリコ豚の血統が、50%以上必要なんですね。で、50%の場合は明記が必要、75%の場合は明記は不要、100%の場合は価値が高まりますから規定をしなくても、メーカー自らが表記します。
でも、100%イベリコ豚って、全体の約2%しかいないので、スペインでもとても貴重なんですね。 一方、日本はイベリコ豚に関する規定がありません。だから、イベリコ豚が25%だったり、ほぼ入ってなくても、ハモン・イベリコとして売れちゃうんです。
――なんか、騙されていた気分です……。 さらに、どんぐりをエサにするのと放牧で育てるのはセットになっていて、これをクリアしたイベリコ豚はベジョータと呼ばれているのですが、これも全体の20%ぐらい。つまり純血統で、どんぐりを食べているイベリコ豚となると0.4%ほどです。 ――日本に輸入されているイベリコ豚は、どんぐりを食べている可能性はほぼないってことですね……。 そうですね。どんぐりと飼料、半々で育てたものを「Cebo de Campo(セボデカンポ)」、飼料だけで育てたものを「Cebo(セボ)」と呼ぶのですが、スペインのスーパーでもセボの生ハムがメインなんです。日本でも表記されている商品もあるので、チェックしてみると面白いですよ。