年金受給者1人を現役世代1.3人で支える時代が予想されていても年金制度は崩壊しない?社労士「長期的に見れば額は減っていくが…」
内閣府が公表した「令和6年版高齢社会白書」によると、昭和25年は現役世代12.1人で1人の受給世代を支えていたのに対し、令和5年は2.0人で1人を支えるようになったそう。将来<年金の減少>が懸念されるなか、社労士YouTuberとして活躍する社労士みなみさんは「手間や労力をかけずに『もらえるお金』『増やせるお金』はかなりある」と語っています。今回は、みなみさんの著書『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】「年金+ちょっとした工夫」で、第二の人生を楽しく充実させる!社労士みなみ『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』 * * * * * * * ◆今後、年金額が減っていくという話は本当? 厚生労働省が、実際に年金生活を始めた65歳以上の人を対象に行なった調査で、約7割の人が「暮らしに心配がない」と答えていますが、お金に余裕があるという話ではないようです。 というのも「家計にゆとりがあり、まったく心配ない」は、約1割です。残りの約6割は、大きな心配はしていないけど、家計にゆとりはないという人たちです。 そのほとんどの人たちの収入の柱は、年金です。 厚生労働省の調べによると、年金が世帯収入の約80%以上を占める世帯が約6割。約4分の1の世帯は、100%年金です。そうなってくると心配になるのは、あの噂です。 「これから、年金はどんどん減っていくらしいよ」 長い目で見れば、年金が減るのは避けられないでしょう。その背景には、少子高齢化の進展があります。
◆日本の公的年金制度の仕組み 日本の公的年金制度は、現役世代が支払った保険料を、そのまま受給世代(年金をもらっている人たち)の年金に使うという仕組で運営されています。これを賦課(ふか)方式といいます。 要するに、受給世代は若い人たちからの仕送りで生活しているようなものなのです。 受給世代は「これまで支えてきたから、これからはよろしく」ということですが、昔と今では、仕送りをする人数とそのお金で生活する人数がまったく異なります。 2021年の高齢社会白書(内閣府)によると、1975年は現役世代8.6人で1人の受給世代を支えていましたが、2020年には2.1人で1人を支えるようになり、2065年には1.3人で1人を支えると予測しています。 「じゃあ、やっぱり年金が減って、いつかもらえなくなるの?」 心配になる気持ちは分かりますが、年金制度が崩壊することはないでしょう。 先ほども示したように、4分の1の世帯が年金のみで暮らし、それ以外の世帯の多くが収入の柱を年金に頼っているという状況で、年金額を大幅に減らしたら何が起きるでしょうか。日本中に生活できない人があふれてしまいます。 それが起きないように調整するのが、政府の仕事です。少なくとも、急に年金額が大きく減額される心配はいらないでしょう。
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