「足のつり」にも漢方が効く! 痛みの緩和、予防に効果を発揮【40代・50代、漢方の知識、基本のき⑦】
「最近、寝ているときに足がつる」「ふとした拍子に足がつって激痛が…」。そんな症状に悩まされる40代、50代が結構いるようだ。実はこんなときの強い味方が漢方薬。今回は、足のつりを改善する漢方薬について、漢方医学に精通する医師、「芝大門 いまづ クリニック」院長の今津嘉宏さんに教えていただいた。
「足のつり」は、疲労や脱水、冷えなどからくる「筋肉の過度な収縮」が大きな原因です
体のさまざまな痛みに悩まされるようになる40代、50代。 なかでも痛すぎてつらいのは「足のつり」だ。筋肉が突然収縮し、激しい痛みを伴って痙攣(けいれん)を起こす症状で、ふくらはぎ、足の裏や足指、太ももなどでも起こる。 足のつりは、どのような原因で起こるのか、今津嘉宏先生に伺った 「足がつるのは、筋肉が過度に収縮することが原因です。筋肉が過度に収縮する誘因は、疲労、脱水、冷えなどです。 山登りやゴルフをした日など、普段よりも脚に負担がかかったときに、足がつることがよくあると思いますが、これは肉体的な負荷がかかることで、筋肉が過度に収縮してしまうからです。強い痛みや、場合によってはしびれを伴うこともあります。 発汗や脱水による水分不足や、ビタミン、電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル)、栄養などの不足が、きっかけになる場合もあります」(今津先生)
「足のつり」に用いられる代表的な漢方薬は「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」
では、漢方医学では、足のつりをどのようにとらえるのだろうか? 「漢方医学では、足のつりは、全身的な変化のうちのひとつととらえる場合と、急性疾患の症状ととらえる場合があります。 全身の冷え(寒熱の寒)が原因の場合は、体を温める漢方薬を、疲労が原因(気血水の気虚)の場合は、体の疲れを取る漢方薬を使います。また、急性疾患(六病位の太陽病)の場合は、すぐに効果が表れる漢方薬を使います。足のつりに最もよく用いられるのが芍薬甘草湯です。芍薬甘草湯は、芍薬と甘草のふたつの生薬から成る漢方薬です。 芍薬は、神経と筋肉をつなぐカルシウムイオンを調節するペオニフロリンが主成分です。 また、もうひとつの生薬の甘草の主成分はグリチルリチン酸。グリチルリチン酸は、カルシウムイオンの力を借りてカリウムイオンを調節し、筋肉を弛緩させます。 このふたつの生薬の効果で、足のつりが改善するのです」