「持続的発展、新たな成長に向け、舵を切る契機の年に」大野元裕埼玉県知事インタビュー
大野元裕埼玉県知事は産経新聞のインタビューで令和7年について、「新たな成長に向け、舵(かじ)を切る契機の年にしたい」などと抱負を述べるとともに、労働生産性を高めていく考えを示した。また、今年県内で実施する全国植樹祭では伐採木を活かす提言をする考えだ。 ■生産性向上を段階的に --昨年一年を振り返り、埼玉県としての成果をどうみているか。日本一暮らしやすい埼玉に向けて力を入れて取り組んだことは何か 「一昨年から、埼玉県が直面している歴史的課題に対して、敢然と立ち向かってきた。人口減少、長寿社会の到来という課題。これは人口減少下でも生産性を向上させることで持続的に発展させることができる社会を進めたいという思いで進めてきた。人口が減っても増え続ける高齢者を支えたり、新しい子供を育てるには、人口の労働生産性を高めるしかないという思いでやってきた」 「生産性を高めるためには(デジタル技術を活用し、業務効率化を図る)DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要だが、埼玉県の場合は段階的にやることにして、ペーパーレスを実施している。第2段階としてデジタルで業務を効率化するタスクトランスフォーメーション、TXとわれわれは呼ぶが、これに取り組んでいる。埼玉県の場合、今年度は全職員に生成AI(人工知能)とか文字起こしAI、(プログラミングの知識やスキルがなくても、アプリやサイトを作成・管理できる)ノーコードツールが使えるライセンスを与えている。1万3千人規模でこういったツールライセンスを与えている自治体は、多分全国でもないのではないか。こういったデジタルツールを活用して生み出された時間を職員の(自身の能力をアップデートするため、より高度な知識やスキルを身に付ける)アップスキリングに充てるとか、歴史的課題のための考える時間にしたりしている」 ■循環型は経済性も重要 --資源の効率的・循環的な利用を図る経済活動を指すサーキュラーエコノミーにも着目してきた 「県は、環境を所管している部ではなく、経済を所管する部にサーキュラーエコノミーを担当させている。持続的発展のためには経済性も重要な要素と認識しているためで、昨年11月末の時点で606件の相談を受けて、61件のマッチングを行った。例えば、規格外の『紅赤』というサツマイモと米こうじを組み合わせ、芋みつを開発したりすると同時に、6月には埼玉県のSDGs(持続可能な開発目標)官民連携プラットフォームにサーキュラーエコノミー推進分化会を作って、会員の取り組みを共有したりもした。また、連携の支援もしていて、これは5カ月たった昨年11月末時点で市町村も含めてすでに295社に参加をしてもらい、市町村や企業と連携して使用済みのリチウムイオン電池を安全に回収して再資源化する取り組みなども始めている」