国立が満員にならなかった天皇杯決勝…でも関西チームの飛躍が光った!
決勝戦のような試合
サッカーの世界には「決勝戦のような試合」という言葉がある。 あと1勝すれば優勝が決まる決勝戦。同時に、たったひとつの失点によって「夢」が潰えてしまうこともある。そのため、普段の試合以上に慎重にならざるを得ず、互いに大きなチャンスを作れないまま時計の針だけが進んでいく……。 「成果ゼロ」日中首脳会談で透けて見えた習近平主席のホンネ 11月23日に東京・国立競技場で行われた第104回天皇杯全日本サッカー選手権決勝が、まさにそんな試合だった。 現在J1リーグで首位を走るヴィッセル神戸と、同5位のガンバ大阪。ともに堅い守備を持ち味として、ボールを奪ってからの速攻でゴールを仕留めるのを得意とするチーム同士。 「決勝戦らしい」と同時に、そんな両チームらしい試合でもあった。 G大阪にとっては、エース宇佐美貴史の肉離れによる欠場が痛かった。 それでも、前半はG大阪が優勢に試合を進めたが、神戸の堅守の前に無得点に終わる。すると、後半は次第に盛り返した神戸が64分に先制する。エースの大迫勇也が難しい体勢から出したパスを武藤嘉紀が持ち込んで、最後はフリーになっていた宮代大聖が決めた。 そして、その後、選手交代を駆使して守備を固めた神戸が1点を守り切って逃げ切った。
元日の「天皇杯決勝」は不都合?
ところで、読者の中には「あれっ、天皇杯決勝って元日だったんじゃないのか?」と思った方も多いのではないだろうか。 そう、サッカーの天皇杯決勝は1969年1月からずっと、半世紀以上にわたって毎年元日に旧国立競技場で開催されてきた。 だが、この10年あまり、元日以外の開催が増えてきていた。 2014年度の大会は、旧国立競技場の取り壊し工事が始まるため、12月13日に決勝戦が行われた。また、翌年1月に日本代表がアジアカップに参加するため、2018年度の大会も12月9日が決勝となり、2022年度大会は11月にカタールでワールドカップが開かれることになっていたので、10月16日が決勝だった。そして、昨年度もアジアカップがあったために前倒しとなり、決勝は12月9日だった。 ただ、今年は「代表チームの日程」といった特別な理由はなかったのに11月23日に決勝戦が行われた。 実は、「元日決勝」というのは、Jリーグクラブにとっては不都合な日程だったのだ。 Jリーグは通常12月初旬に終了するので、天皇杯の決勝進出チームだけシーズンオフ入りするのが遅れてしまう。また、12月には翌年度に向けた選手との契約更改も行われるため、戦力外通告を受けた選手も一緒に天皇杯を戦わなければならないのだ。 だから、日本代表の都合で元日以外の開催が続いた流れに乗って、なし崩し的に今年度も11月開催となったというわけだ。