国立が満員にならなかった天皇杯決勝…でも関西チームの飛躍が光った!
何月に行うべきなのか
ただ、「元日開催」は半世紀にわたって定着しており、明治神宮での初詣を済ませた晴れ着姿の女性がスタンドを埋めるなど、「冬の風物詩」としてサッカーファン以外にもお馴染みだった。元日の恒例行事として、どこのチームが勝ち残っても必ず観戦に訪れる固定ファンも多かった。 ところが、元日以外の開催が多くなり、しかも、毎年決勝の日程が異なっているので、こうした固定ファンは当然、離れていってしまう。サッカーファンの間でも、神戸とG大阪のサポーター以外では、この日に決勝戦があることを知らなかった人も多かったのではないだろうか。 実際、11月23日の決勝戦の入場者数は5万6824人。ゴール裏には空席も目立っていた。 Jリーグは、2026年以降は、いわゆる「秋冬制」に移行することが決まっている。8月に開幕して、1月、2月の冬の中断をはさんで、5月に閉幕する日程となるのだ。 そんな中で、天皇杯決勝は何月に行うべきなのか。Jリーグ閉幕に合わせて5月開催とすべか、それともリーグ戦の中盤、冬の中断前の元日に戻すべきか……。さまざまな状況を勘案して、日程を固定する必要があるだろう。
関西勢の躍進
さて、11月23日の決勝戦が満員にならなかったもう一つの原因は、決勝戦が関西勢同士だったことだ。 互いに万単位のサポーターが詰めかけたが、やはり東京まで来られなかった人も多かったことだろう。とくに神戸のサポーターは、これから優勝が懸かるJ1リーグ終盤のアウェーゲームもあれば、アジア・チャンピオンズリーグでの海外遠征も控えている。 関西勢同士の決勝は、1953年の全関学対大阪クラブ以来、なんと71年ぶりのことだった。その間、ほとんどの大会で決勝戦には関東地方のチームが勝ち進んでいた。1980年代には日産自動車(神奈川県=現・横浜F・マリノス)と読売サッカークラブ(東京都=現・東京ヴェルディ)が7年間タイトルを独占していた時代もあった。 現在も、J1リーグでは関東地方にチームが偏在している。東京都にはFC東京、東京V、町田ゼルビアとJ1クラブが3つもあるし、神奈川県には横浜F・マリノスのほか、川崎フロンターレ、湘南ベルマーレがあり、さらに来年は横浜FCの昇格も決まっている。 埼玉県には観客動員数ナンバーワンの浦和レッズがあり、茨城県には鹿島アントラーズもあり、東日本優位は明らかだった。 だが、昨年のJ1リーグでは神戸が初優勝。終盤に差し掛かっている今年のJ1リーグでも優勝争いは事実上、神戸とサンフレッチェ広島の一騎討ちとなっている。そして天皇杯決勝も関西勢同士となった。 西日本には2015年に完成したG大阪の本拠地パナソニックスタジアム吹田を初め、近代的な専用スタジアムが相次いで完成。今年も広島のピースウイング広島や、V・ファーレン長崎の本拠地となる長崎スタジアムシティ(ピーススタジアム)が開場した。そしてチーム力でも東日本の強豪を上回るチームが増えてきたのだ。