国立が満員にならなかった天皇杯決勝…でも関西チームの飛躍が光った!
日本のサッカーにとって有意義な流れ
サッカーのJリーグとプロ野球の違いの一つは、選手の育成にある。 野球では中学や高校、大学の野球部で育てられた選手をドラフトしてくる。だが、サッカーではすべてのJリーグクラブに「アカデミー」と呼ばれる育成組織が存在し、自ら将来のプロ選手を育てている。 現在、日本代表はW杯アジア最終予選で圧倒的な強さを示しているが、それもこうした育成組織から優れた選手が輩出しているからにほかならない。だから、日本全国の優れた才能を見逃さず、育てていくには、全国にJリーグクラブが遍(あまね)く存在した方がいいのだ。 現在、Jリーグには60のクラブが加盟しており、空白県は7県のみとなっている。4部リーグに当たる日本フットボールリーグでは、高知ユナイテッドが準優勝。12月の入れ替え戦に勝てば高知県初のJリーグクラブとなる。 そうした意味でも、西日本勢の台頭は日本のサッカーのために有意義なこと。今シーズンの天皇杯決勝は、そんな流れを象徴するような試合でもあったのだ。
後藤 健生(サッカージャーナリスト)