防衛力の維持、強化は「自衛隊最高司令官の使命」岸田首相会見12月10日(全文1)
防衛力の抜本的強化は待ったなしの課題
年末、防衛力の抜本的強化、令和5年度予算編成と税制改正、グリーントランスフォーメーション実行計画の取りまとめなど、重要な課題が山積をしています。これらの課題1つ1つにベストの結果を出してまいります。 特に防衛力の抜本的強化は厳しい安全保障環境を前に一刻の猶予もない、待ったなしの課題です。今後5年間で緊急的に防衛力を抜本強化する。その結果として、令和9年度には、防衛力と、それを補完する取り組みをGDP比2%に強化をする。その強化された防衛力を維持、強化するための安定財源を確保する。年末、この3点を三位一体で国家の意思として、毅然として内外に示す、強い決意を持って臨んでまいります。私からは以上です。 司会:それではこれから皆さまよりご質問をいただきます。指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問ご質問をお願いいたします。まず幹事社からご質問をいただきます。それは読売新聞、仲川さん。
防衛増税を争点に衆院解散総選挙を行う可能性は
記者:読売新聞の仲川です。防衛力強化のための財源についてお伺いいたします。総理は歳出改革などの一方、増税も行う、こうした考えを示されています。安定財源の確保は必要だと、こういうことかと思います。ただ増税を巡っては、一部閣僚や自民党内などから反発や懸念が出ています。負担が増えてもその分受益できる、こうした理解を政界、そして広く国民から得ることが必要になってくると思いますけれども、今後どのように理解を求めていくお考えでしょうか。 また自民党内には選挙公約に防衛増税を明記していない、やるなら国民に信を問うべきだ、こういった意見もあるようです。防衛増税を争点に衆院解散総選挙を行うことも選択肢に入ってきますでしょうか、お答えいただけますでしょうか、よろしくお願いします。 岸田:まずご理解いただかなければならないのは、増税が目的ではないということであります。防衛力の強化、維持が目的です。今、国際情勢は不安定化、流動化しています。わが国を巡る安全保障環境も厳しさを増しています。こうした状況を前に総理大臣として5年間で抜本的に防衛力を強化することを決断いたしました。5年間掛けて強化する防衛力はその後も維持、強化していかなければなりません。それが国家、国民の平和と安全を預かる総理大臣、自衛隊の最高司令官としての総理大臣の使命だと考えています。 そしてそのためには、強化する防衛力を未来に向かって維持、強化するための裏付けとなる財源、これは不可欠です。これは未来の世代に対する私たち世代の責任でもあると考えています。このため、防衛力強化の内容、予算、そして財源のこの3つを本年末に一体的に決め、国民の皆さんに明確にお示しをする、この方針を国会においても、また会見においても一貫してたびたび申し上げてまいりました。 そしてその財源については、財務省に対し、歳出削減、余剰金、また税外収入の活用など、ありとあらゆる努力、検討を行うよう厳命をいたしました。その結果として必要となる財源の約4分の3は歳出改革等の努力で賄う道筋ができました。残りの4分の1について、国民の皆さまにご協力をいただくことを考えていますが、これについても現下の経済状況等を踏まえて、9年度に向けて複数年掛けて段階的に実施することとし、その開始時期については柔軟に対応してまいります。