ステージから科学と社会、人と地域をつなぐ――サイエンスエンターテイナー・五十嵐美樹さん
私自身、学生時代はサイエンスアゴラが「目指す場」でした。出展者として参加すると、どこもかしこも面白いからブース運営どころじゃなくなる。もちろん来場する側としても楽しい。そんな印象でした。
今回、委員として全体を俯瞰する立場になって感じたのが、領域がすごく広いこと。もともとは理系寄りのイメージを持っていましたが、実は人文・社会科学や文理融合を掲げたブースもある。さらに科学を文化として捉えるようなブースもたくさんある。そこをもっと皆さんに知っていただきたいなと思いましたし、多様な媒体で発信を行っています。
―サイエンスエンターテイナーとして、どのように貢献できそうだと考えていますか。
やっぱり、足を運んでもらうきっかけを作るところですね。私のサイエンスショーで、 感情を動かす部分を担えればと思っています。メディアでの発信も含めて、今までサイエンスアゴラを知らなかった人たちにも届くよう、エンターテインメントが役に立ったらうれしいですね。
ブースのキュレーションも担当したのですが、展示同士の関連が見えるような配置をしました。興味のあるブースを見たあとに、周りを見渡せば幅が広がるような場にしたくて。こだわってキュレーションしたので、楽しんでもらいたいですね。
教育と作品で、科学戦士の輪を広げたい!
―今後取り組んでいきたいことや方向性について教えてください。
1つは「次世代の育成に貢献する」こと。私一人で与えられる影響力には限界があるので。大学教員として、私の活動に関心を持ってくれる学生たちを育てていきたいです。子供たちに関わる仕事がしたいとざっくり考えていた子が、科学実験教室をやってみることにしましたと言ってくれたこともあって。そうやって学生たちが伝える側になっていってくれれば、どんどん母数が広がっていくと思えるようになりました。
もう1つは「作品を残す」こと。理由は1つ目と同じです。以前「科学戦士『ミギネジ』の悪キャラの倒し方」という書籍を出したのですが、本当にボサボサになるぐらい読んでからサイエンスショーに来てくれる子とかもいて。この本が頑張ってくれれば、自分の伝えたいことが作品を通じて広がっていくのではないかと考えています。