ステージから科学と社会、人と地域をつなぐ――サイエンスエンターテイナー・五十嵐美樹さん
サイエンスショーでは地方を回ることが多いのですが、現地ではものづくりをしている企業が活発に活動されています。私が知らなかった伝統的な技術とか、それでいて革新的な技術とか、「日本ならではの科学技術」に地方へ行けば行くほど直に触れる機会があって。地方のショーでは、地域の技術と子どもたちが出会う場所を作ることが活性化にもつながると意識しています。
今、大分県のサイエンスフェスで、『大分”一村一品(※)”サイエンスショー』というものをやろうとしています。うっかり「大分のいろんな土地の物を使って実験します」と言ってしまい、今その準備で本当にやばい状況です。カボスを取り寄せて、これでどんな実験をしようかなとか。家が大分のもので埋めつくされそうになるぐらい。でも、地元の人も喜んでくれますし、子どもたちも地域の科学に対する期待みたいなのを持てるようになるのではないかと信じてやっています。 ※各地域が独自の特産品や技術を活用して地域経済を活性化させることを目指す取り組み。地域の特色を活かした産業振興のモデルとして全国に広がっている。
―大変そうだと思っても、力強く実現していく感じがうかがえます。
私はまず「こういうのがやりたい」という発想が出てくるので、「やります」と宣言してしまってから、いろんな人と一緒に現実化している感じです。現地で実験を急に変えることもあります。その土地の方々とやり取りすることで思い浮かぶこともありますので。地元の人たちしか知らないローカルルールみたいなものが貴重な素材になります。インスピレーションで動くので自分も周りも大変ですけど、やっぱり楽しいじゃないですか。自分も飽きないし、地域の人も楽しんでくれているのではないかなと思っています。
サイエンスアゴラに足を運ぶきっかけ作りに
―近年は大学で教鞭を執るなど、少しずつ立場が変わりつつある印象です。その1つとして26~27日に都内で開催する「サイエンスアゴラ2024」推進委員にも就任されました。