井上尚弥は決戦2日前に米ラスベガスでの記者会見で何を語ったか?「求められている試合をしたい」
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(28、大橋)は17日(日本時間18日)、米ネバダ州ラスベガスのヴァージンホテルズ・ラスベガスで、19日(日本時間20日)に同所で行われるIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28、フィリピン)との指名試合に向けての公式会見を行った。下馬評は井上が圧倒的有利。”モンスター”は「求められている“いい試合”をしたい」とKO宣言をした。
アラムCEO「拳が舞う試合になる」
全米でこの試合を放映するESPNがお膳立てした華やかな記者会見は、数々のビッグファイトをプロモートしてきたトップランク社のボブ・アラムCEOのコメントから始まった。 「モンスターが米国に戻ってきてタフなフィリピンボクサーと戦う。私は過去の経験からフィリピンのファイターがどれだけタフかを知っている。これはとても楽しめる試合になるだろう。この戦いは拳が舞うことになる。土曜の夜が待ち遠しい」 白いジャージに黒いマスクをして会見に臨んだ井上に司会者から投げかけられた質問は3つだった。 「4団体統一を目指す意味は?」 「期待の高いアメリカに戻ってきて試合をする気持ちは?」 「こちらで人気があるモンスターのニックネームをどう思う?」 井上は最初の質問には「バンタム級でのナンバーワンを示すには、4つのベルトが必要。まずは4つのベルトを取るように心がけている」と答えた。国際的なネームバリューのないダスマリナスとのIBFの指名試合をあえて受けたのは、今後、WBC、WBOのベルトを順番に腰に巻いていく際に4つのベルトをコンプリートに並べるために他ならない。そしてラスベガスで初めて有観客の中戦うことで井上自身の全米での商品価値をさらに高め、6階級制覇王者、マニー・パッキャオのような、世界で名実共にナンバーワンになるためのステップにしたいとの陣営の思惑もある。 だから2つ目の質問には「期待も感じている。自分に求められている試合というものも凄く感じているので、明後日は求められているいい試合をしたい」と返答した。 求められているいい試合とは何か? 会見終了後、試合を生中継するWOWOWのインタビューで、その核心を問われた。 「技術、テクニックを見せながら、しっかりKOにつなげていく」 単純なKO勝利のインパクトではない。 “よくあんなパンチを打てたな”と目の肥えた本場のファンをうならせるモンスターの凄みをそこに付け加えたいのである。 2度目のラスベガスとなる現地調整も順調に進んだ。 「すごくリラックスして調整ができた。体重もスムーズに落とすことができた。今日はゆっくりして明日の計量に備えるだけ」 国内で準備したサウスポー対策にぬかりはない。 「サウスポー対策も万全。いいトレーニングを積んできた。有観客でもあり高いパフォーマンスを出せると思う。いろんな面で魅せるボクシングを見せられる」 一方のダスマリナスもアップセットへの意欲を口にした。 「井上尚弥とグッドファイトをするためにトレーニングで考えられるすべてのことをやって準備をしてきた」 井上同様、通訳をつけてのインタビュー。 戦績は33戦30勝(20KO)2敗1分けで、2019年10月にTKO勝利して以来の試合となるが、「長かったけれど、我慢と忍耐強さでここにたどりつくことができた。素晴らしいファイターと戦えるチャンスを与えてくれたみんなに感謝したい」と語った。