井上尚弥は決戦2日前に米ラスベガスでの記者会見で何を語ったか?「求められている試合をしたい」
会見の最後のフェイスオフでは、長身のダスマリナスを少しだけ見上げる形になった。井上は強い目力で睨んだわけではなかったが、圧に押し負けたようにダスマリナスは何度か目をそらした。そして最後は、井上の方から表情を和らげて右手を差し出した。 「横浜で逢ったときと同じくいい奴だなという印象を持った。でもいい奴ほど、リングで牙をむいてくる。そこだけは油断しないようにしっかりと挑みたい」 ダスマリナスは数年前に弟の拓真のスパーリングパートナーとして来日経験があり、毎日のように横浜の大橋ジムで顔を合わせていた。それだけに親近感はなくはないが、このフィリピン人が、初のメジャー団体の世界戦に人生のすべてをかけて挑んでいることは理解している。だから「いい奴ほど牙をむく」と警戒するのである。 最後の質問の「モンスター」のニックネームについて井上は「しっくりくるようになっている。(米国で)ナオヤ・イノウエより、先にモンスターが出てくるのは親しみもありうれしくも思う」と笑って答えた。 一方のダスマリナスのニックネームは「ホット&スパイシー」。司会者は、ダスマリナスにもふったが「とても熱く辛いパンチを知ることになるだろう」と、こちらも笑顔で説明していた。 計量を経て決戦ゴングは日本時間20日の昼過ぎくらいになる。 「会見をやると、いよいよだなという気持ちもあるし、やってきたことがもうすぐ出せるんだなと嬉しさも出てくる」 井上の哲学は、「試合が決まったときには自信はゼロ。そこから準備を積み重ね、試合前にその自信をどこまで作りあげられているかで勝敗が決まる」というもの。井上の心にふつふつと湧き上がっている「嬉しさ」こそ、この試合の結末を物語っている。 ちなみにブックメーカーの予想は大手のウイリアムヒルで井上勝利が1.14倍でダスマリナス勝利は13倍。井上が圧倒的な支持を受けている。