「子どもが部屋に引きこもった」「暴力をふるうように…」そんなときこそ親がすべきこと
子どもと接するときに心に留めておきたいこと
もし我が子が「学校に行きたくない、行けない」と言ってきたら……。「何を話せばいいのかわからない」「どんなふうに接したらいいの?」と、混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。ましてや、子どもが部屋に閉じこもってしまったり、暴力をふるうようになってしまったら……。 ほとんどの親がやりがち!? 不登校専門カウンセラーが語る、子どもと接するときに“やってはいけないこと” 今回は、自らも不登校を経験し、親子で絶望の状態から立ち直ったという今野陽悦さんの著書『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』から、「子どものケアをするときの基本」についてご紹介します。20年ほど不登校や引きこもりを専門としたカウンセラーとして活動し、延べ1万件以上の事例に接してきた今野さんが説く、子どもと接するときに心に留めておきたい大切なポイントとは?
心を閉ざした子どもに対しては
子どもが心を閉ざしてしまって部屋からぜんぜん出てこなかったり、昼夜が逆転した生活を送っていてほとんど親と顔を合わせなかったりといったケースは、不登校中の子どもにはとても多いものです。 親とは話をしようともしないのに、SNSで知り合った人などとは普通に笑いながら話す様子などを目(ま)の当たりにすると、余計に「なんで!?」という思いが強くなってしまいますよね。 親が自己受容を実践して身についていれば、そうした状況もある程度受け容れながら対応ができるのですが、まだその段階にまで至っていない場合には、あせって事を起こそうとしないことが大切です。「いつまでこんな生活をしているつもり!?」「いい加減にしなさい!」と問い詰めたり怒ったりしてもこちらの気持ちは伝わらず、逆効果となってしまいます。 子どもが心を閉ざしてしまった背景には、往々にして「親に言ってもわかってもらえない」という気持ちがあります。小さい頃から「ああしなさい」「こうしなさい」と言われて育ってきた。親の思う通りの行動をしたときや、親の理想の結果を出したときだけ褒められる。自分の気持ちを話そうとしても、きちんと聞いてもらえない。もしくは、否定・反対される。 親にとって子どもは、いつまで経っても子どもかもしれません。しかし、こういう時間を長く過ごしてきた子どもが思春期を迎えると「自分は親の所有物じゃない」「親は親、自分は自分だ」という思いが芽生えて不満を感じるようになります。そして、そんな子どもの思いは切実なのだと思います。 また、子どもの目線や感覚からすると「少しずつ小さな反抗や主張を繰り返してもムダだったから、心を閉ざした」というプロセスを経てそうなっていった経緯があります。ところが、良かれと思って無意識に子どもを理想へ近づけようと育てていた親には、その経緯がなかなか見えません。そのために「ある日突然、心を閉ざされた」ように感じてしまって戸惑う人も大変多いようです。 でも、あなたはあなたなりに愛をもって必死に子育てをされてきたことは紛れもない事実なのですから、自分を責めたり自己否定をしたりしないでくださいね。 子どもが心を閉ざしたときの対応も、やはり基本は“自己受容”です。親がまず自身のことをありのままに受容し、子どもが心を閉ざしてしまったという状況も認めた上で話ができれば、子どもにも伝わりやすくなります。 そのときは、 ・子どもの話を遮ることなく、最後まで聞く ・話の途中でアドバイスをしたり、否定的なことを言ったりしない ・「私はあなたの気持ちを話してほしい」とアイメッセージで話す という基本を意識してくださいね。