上野動物園のパンダ「リーリー」と「シンシン」中国で治療に専念 副園長が語る感謝と思い
東京・上野動物園のジャイアントパンダ、オスのリーリーとメスのシンシンが、どちらも高齢期にさしかかり治療に専念するため、9月末に中国へ返還されることが発表されました。2005年に中国四川省で生まれ2011年に来園。2頭の間には2017年にシャンシャンが、2021年に双子のシャオシャオとレイレイが生まれています。19歳となった2頭には今どのような症状が見られるのでしょうか? 同園の冨田副園長に取材しました。 【特集】上野動物園のジャイアントパンダ「リーリー」「シンシン」
――症状について 2頭とも血圧が高く、リーリー(オス)は吐き戻しの症状が時おり見られ、降圧剤を使った治療や検査なども行いました。現状重篤な状態ではないものの、輸送が心配なくできる早い段階で中国へ帰り、そこで治療に専念することが2頭の末永い健康のために良いと判断しました。
――返還にあたっての思い 動物の健康維持は何より最優先の気持ちでいます。寂しい気持ちはあるものの健康第一に考え、今後中国で元気に暮らしていくことを願っています。
――2頭とのエピソード 双子が誕生した時の思い出が大きいです。身の引き締まる思いでした。飼育係とシンシンとの連携で双子を育て上げた思い出が印象的です。
――2頭の貢献について ジャイアントパンダは上野動物園にたくさんの人が関心をもってくれた立役者であり、2頭がいなければ子供たちも生まれなかった。共同研究としての大きな成果も残せた。しかし何より、皆さんに愛してもらい動物は大事であると感じてもらえたのが大きな貢献と思います。
――来園者への思い 急な発表となり、寂しい思いをされている方もたくさんいると思います。私も同じ気持ちです。残りの期間中に来園いただき、2頭と皆さんの思い出をよみがえらせてほしいです。
9月28日土曜日が最終観覧日となり、翌29日に2頭は約5000日過ごした上野動物園を離れ、生まれ故郷の中国四川省へ帰ります。
2頭プロフィール リーリー(オス) 2005年8月16日生まれ シンシン(メス) 2005年7月3日生まれ 中国四川省臥竜保護センターで生まれ2011年2月21日上野動物園に来園