「太陽のような存在だった」 神戸・王子動物園でパンダ「タンタン」の追悼式
抽選で選ばれた一般参列者約100人が参列
「太陽のような存在だった」 神戸・王子動物園でパンダ「タンタン」の追悼式(撮影:具志堅浩二)
神戸市立王子動物園は10日、今年3月に28歳6か月の生涯を終えたメスのジャイアントパンダ「タンタン」の追悼式を行い、久元喜造・神戸市長ら来賓約40人と申込者の中から抽選で選ばれた一般参列者約100人が出席し、タンタンとの別れを惜しんだ。
2000年7月16日、王子動物園に来園
タンタンは1995年9月16日に中国・四川省で誕生。2000年7月16日、日中共同での飼育・繁殖研究のため、王子動物園に来園して以来、多くの来園者に親しまれてきた。 2021年に定期検査で加齢などによる心臓疾患が判明。中国側からジャイアントパンダの専門家が複数回派遣されるなど、診察・治療に努めてきたが、今年3月15日より病状が進行。同月31日には心肺停止となり、同日午後11時56分、28歳6か月の生涯を終えた。
園長「太陽のような存在だった」
追悼式の冒頭、あいさつに立った王子動物園の加古裕二郎園長は、「(タンタンの来園)当時は一市民として観覧に訪れたが、神戸市民の歓迎ぶりはただごとではなかった」とタンタン人気のフィーバーぶりを振り返るとともに、「見る人会う人すべてを元気にする、まさに太陽のような存在だった」と偲んだ。 続いて、タンタンの園での様子を動画や写真を振り返るメモリアルムービーを上映後、同園の吉田憲一飼育員が時折鼻をすすりながら「これからはゆっくり空の上から見ていて下さい。でも、たまにはどんな形でもいいから会いに来てくれるとうれしいです」、梅元良次飼育員が「あなたと過ごせたこの16年間、本当にとても楽しかった。ありがとう」などとタンタンへの贈る言葉を述べた。
「メモリアルムービーを見ていたら涙が出た」
この後、青谷愛児園の園児たちが「ありがとうの花」を合唱するととともに、「タンタンずっと大好きだよ」とタンタンにメッセージを贈った。 式典終了後、香川県高松市から来たという一般参列者の女性は、「気持ちに区切りをつけるために参列しました」と参列の動機を話す。タンタンの魅力は「上野(動物園)のパンダよりも手足が短めでかわいいところ」にあると言い、式典中に「メモリアルムービーを見ていたら涙が出た」と話した。 (取材・文:具志堅浩二)