なぜパンダはこんなにかわいいの? パンダに関する疑問を解決
パンダに関するさまざまな疑問について、公立鳥取環境大学副学長 環境学部教授の小林朋道先生にお答えいただきました。(執筆・監修:小林朋道)
Q:なぜパンダはこんなにかわいいのですか?
A:最近のアニメやゲームの女の子の顔を思い浮かべていただきたい。顔全体のサイズに比べて、相対的に大きな目、そして小さな口元。それらは見る側に「かわいい」という印象を与えはしないだろうか。 そもそもこれらの特徴はヒトの幼児の顔の特徴であり、ヒトという種が生き延びるためには、そういった特徴をもつ幼児をかわいいと感じる脳内回路が存在しなければならなかった。そして幼児の保護に駆り立てなければならなかった。 ジャイアントパンダの顔はどうだろう。 目の周囲の黒い毛も手伝って「大きな目、小さな口元」になっている。さらに、ヒトの幼児の特徴である「ぎこちない動作」も、パンダが座って竹を食べたり、体を揺らしながら歩いたりするときなどに見られる特徴であり、これらが総合されてパンダを見るとわれわれヒトはかわいいと感じるのではないだろうか。
Q:なぜパンダの赤ちゃんは双子が多いのですか?
A:研究が進んでいるイヌワシでは、多くの場合、卵は2個産み落とされるが、1番目にふ化したヒナはほとんど例外なく2番目にふ化したヒナ(つまり自分の弟か妹)を突いて殺す。 そもそもイヌワシの親は、一羽のヒナしか育てあげる力をもっていない。 ではなぜ卵を2個生むのかといえば、卵が1つだとその卵が何らかの原因で壊れたりふ化しなかったりする可能性があるからだと考えられている。 つまり2個目の卵は1個目の卵が育たなかったときの“保険”というわけだ。 ジャイアントパンダでもイヌワシと同じような理由で双子を生んでいる可能性がある。 ジャイアントパンダでも母親が育てられる仔は1匹だけだと言われており、2匹目は“保険”として生んでいるのではないだろうか。
Q:ジャイアントパンダは鳴きますか? 鳴くとすればどんな鳴き方をしますか?
A:ジャイアントパンダの成獣は「メエー、メエー」とヒツジやヤギのような声で鳴くことが知られている。 他にも十分明らかにされていない何種類かの鳴き方があるようだ。 いっぽう、一般の人は見る機会がないので知られていないが、生後間もない赤ん坊パンダも、成獣よりよく鳴く。文字で表現すると「アー、アー」とか「ワン、ワン」いったふうに、成獣の場合より頻繁に、また大きな声で、つまり懸命に鳴く。 大抵の哺乳類では、赤ん坊はよくなく。それは、親から離れてしまうと、体温も下がるし母乳ももらえず生きてはいけないからだ。外敵にもやられてしまう。 仮に、親から少し離れてしまっても懸命に鳴くことによって、自分の場所を知らせ親に助けに来てもらうことができるからだと考えられている。パンダの仔の場合もそうではないだろうか。