「ああ、そういうことか!」窪田正孝主演「宙わたる教室」ほぼ原作通りのドラマ版 原作で気づかなかった部分を補う“ささやかで優しい改変”に感動
■この先に大きな改変があるのでは……?
今までのところは極めて原作に忠実だ。たとえば原作の第1話には、教室内で“青空”を作る実験をするため煙草を吸う場面がある。最近のドラマでは喫煙シーンは省かれる傾向にあるので、ここはどうするのだろうと思っていたのだが、しっかり教室内喫煙が登場して、逆に驚いた。まあ、原作よりかなりマイルドになってはいたけれど。 もちろん他にも細かい違いはあった。たとえば第1話の蕎麦屋の場面は原作にはないし柳田の子ども時代の回想も原作と異なる。ちょっと残念だったのは、柳田がディスレクシアだというのを認識する場面だ。ドラマでは退学届がうまく書けないというのがきっかけだったが、原作ではディスレクシア用に開発されたフォントを見て「読める」と驚く場面がある。映像でそのフォントが見られるかなと楽しみにしていたのだが。 第2話ではアンジェラの環境が少し変わっていたし、同級生の窃盗疑惑に柳田が校庭で反論する場面はドラマオリジナルだ。他にも、原作の方が科学の情報が詳しいとか、実験のトライ&エラーが多いなどの違いもあるが、どれも改変としては瑣末と言っていい。演出上の違いこそあれ、人物造形も物語もすべて原作通りなのである。 だが、注目すべきはここからだ。今、ちょっと後悔しているのだが、このドラマを取り上げるのは全話の放送が終わってからの方が良かったかもしれない。なぜならここまで原作通りに1回1話で進んできたこのドラマだが、おそらくここから先に何らかの大きな改変が予想されるのである。 なぜそれがわかるか。だってドラマは全10話なのに、原作は7話までしかないんだもの。終盤の話を膨らませて2回に分けるか、もしくはドラマオリジナルの回が入るとしか思えないじゃないか。原作第6話の藤竹自身の話を膨らませて最終話に持ってくるのか、あるいは原作最終話の生徒たちの花道を大々的にやるのか。原作通りなら科学部の面々は「火星のクレーターを再現する」という目標に向かって1話ずつ進むため、オリジナル回が入るとしてもその過程を無視するわけにはいかないし、さてどうなるか? 予想しながら楽しみに待ちたい。