プロレスラー大和ヒロシ、コロナ禍の生き方 鍵は臨機応変
東京・大阪はじめ9つの都道府県への緊急事態宣言が延長されるなど依然として収束が見通せないコロナ禍。さまざまな業界がダメージを受ける中、プロレス界も例外ではない。とくにフリーランスで生きる選手の現状について、興行のプロモートなども手がけるプロレスラーであり二児の父でもある大和ヒロシに聞いた。大和は現在37歳。2006年に武藤塾新人オーディションに合格し全日本プロレス入門。翌年23歳のときメキシコでデビュー。WRESTLE-1には2013年の旗揚げから2020年の活動停止まで参加。フリー転向後はZERO1、プロレスリング・ノア、2AW、DRAGON GATE、DDTプロレスリングなどに参戦している。
収入は大幅ダウン 予測できなかったダメージの大きさ
「まず選手としては2020年の2月後半から試合がいったんなくなりました。フリーは1試合ごとのギャラで生活しているのですが、当然収入はものすごくダウンしました。私は2019年は年間299試合をやって多少の余裕も持ちながらそれなりに生活は安定していたんです。この状態であと20年ぐらい現役を続けられればなあ、などと思っていた矢先でコロナ。完全に人生設計がくるいました。家庭を持っていますし私一人の人生じゃないので、どう対処していくべきか、不安感とも戦っている状況です」 最初にコロナ関連の報道が出始めたばかりの頃はまだ多くの人がそうであったように、大和もまさかこれほどの状況になるとは予想していなかったという。選手としてだけではなく、プロモーターとしても大きなダメージを体験している。 「私が大会を開催する際は自主興行ではなく、興行権を買い取ってプロモーターとして行うのですが、昨年3月に予定していた大会は中止となってしまいました。すでに準備をしていた大会を中止にすることは、単に入るはずの収益が入らなかっただけでは済まない。準備と後始末があるんです。挨拶回りに始まりさまざまな準備も収益を見込んで動くわけです。さらにチケットの払い戻しにもコストがかかる。振込で済めばいいのですが直接持っていかなくてはいけない場合もあります。かなりのマイナスが発生し、それを取り戻せずにいる状況です」