「デフレ脳では資産が減ります」2025年、賢い人の住宅ローン新戦略
■繰り上げ返済は「禁止」、銀行株を買うという手も ――金利がある世界となった中で、住宅ローンに関して個人ができる対策はどのようなものがあるのでしょうか? 新規借り入れを行う方は、今後金利が1~1.5%に上がっても耐えられる金額で住宅ローンを借りることが重要です。既に金利のある世界に入っており、これまでのように金利が下がる前提で住宅ローンを組むのは危険です。 ただし日銀による利上げは、あったとしても緩やかになると予想されます。当面は現在の変動金利が固定金利より安い状態が逆転することはないと予想され、住宅ローンを変動金利で組むのが有利な状態は続くでしょう。 ――既に住宅ローンを借りている人ができる対策はどのようなものがありますか? 既に借り入れがある方は3つの対策があります。 1つ目は借り換えの検討を行うことです。現段階で0.6%以上の住宅ローン金利の場合は、借り換えにより支払い金利を抑えられる可能性が高いです。今後日銀の利上げがあると借り換え先の金利はもちろん上がりますが、現在利用中の住宅ローン金利も同様に上昇するため、今現在で金利を下げられるのであれば、借り換えない理由はないでしょう。 ですので、現在の住宅ローン金利が高いようなら、積極的に借り換えを検討しましょう。モゲチェックでは2024年12月より、借り換えユーザー向けに年0.344%の限定優遇金利(変動金利)を案内するなど、属性や希望に合わせた最適なプランを提供しています。モゲチェックの住宅ローン診断を利用してみてはいかがでしょうか。 2つ目は繰り上げ返済をしないことです。デフレからインフレに時代が変わり、現金の価値が下がり負債の実質的な負担も同様に軽減されるようになってきています。 例えば、明治時代の100万円の借金と令和の100万円の借金では後者の方が負担は圧倒的に少ないとお分かりでしょう。つまり、負債の返済はインフレが進んだ後に行うことが有利であり、繰り上げ返済はインフレが進む前に返済を急ぐことになるため、資産形成の観点からは不利な行為です。 デフレからインフレに時代が変わっており、繰り上げ返済は厳禁の時代となりました。 3つ目は資産運用の必要性です。先ほど繰り上げ返済厳禁と申しましたが、繰り上げ返済できる資金があれば長期分散でNISAやiDeCoも活用して、資産運用を行いましょう。S&P500連動型や全世界株式型(オルカン)など長期視点で保有できる投資信託がおすすめです。 米国株価指数や先進国全体の株価指数の伸びはインフレを上回ることも考えられるため、インフレ以上の資産増加も期待できるでしょう。また、住宅ローンを借りている銀行の株式を買う、というのも選択肢の一つです。銀行に支払っている住宅ローンの金利を、配当金や株価上昇で取り返すイメージです。 ただし個別銘柄への投資のため、銀行によっては注意が必要です。インフレ時代となり株や不動産などの資産価格は上昇しやすい時代となりました。デフレからインフレに時代が変化しており、インフレを追い風に資産を増やす、という発想の転換が必要になったと言えるでしょう。 ■ 塩澤崇 しおざわたかし 株式会社MFS 取締役CMO。2006年に東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。2009年、ボストン・コンサルティング・グループで、メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事した後、2015年9月より現職。
石井僚一