「メッシはなぜ相手を抜けるのか?」中村憲剛が明かす驚愕の体験“メッシの股抜き”とは…「一瞬何が起きたのか分かりませんでした」
「才能」とはいったい何なのか? この究極の難問に元サッカー日本代表にして川崎フロンターレのレジェンド、中村憲剛が挑んだ。『才能発見 「考える力」は勝利への近道』(中村憲剛著/文藝春秋刊)の中から「左利きという才能」「メッシの股抜き」の項を抜粋して紹介します。<全3回の第1回/第2回へ> 【決定的瞬間】メッシがW杯にキスして幸せそうな表情を複数アングルから激写。20歳超有望DFを“子ども扱い神アシスト”などW杯での伝説プレーも見る(50枚超)
左利きという才能
では、「戦術より重視されるごくまれな才能」とは、具体的にどんなものでしょうか。 僕なりの答えを明かす前に、「名波浩さん、中村俊輔さん、玉田圭司、本田圭佑、家長昭博、堂安律、伊藤洋輝、久保建英」の共通点を探してみてください。 そう、「左利き」だということです。 利き足は生まれつきでしょうから、左利きは「授けられた才能」と言っていいでしょう。 サッカーにおいて、左利きのプラスアルファは大きいです。左利きの選手がいることで、チームの戦術に幅が生まれます。 左利きの人は想像力や閃きを司る「右脳」が発達している、と言われます。なるほど左利きの選手は、僕ら右利きとは思考回路が違うな、という印象があります。 右利きの選手は、左足も使います。使用頻度は多くないかもしれませんが、左足でパスを出すし、シュートも打つ。僕自身、利き足の右足のシュートはパンチ力がありますが、左足は力みのないフォームでコースを狙うことができていました。 ところが、左利きの選手はほぼ右足を使いません。
左利きの「独特な感覚」
日本代表で中村俊輔さんと長く一緒にプレーし、川崎フロンターレでは家長とチームメイトでしたが、彼らは自分の左足を輝かせることに集中しているし、そのために、ボールの持ち方も左足に合わせます。自分の世界というものがはっきりとあり、周りに合わせることももちろんできますが、それ以上に僕らも彼らに合わせたほうが広がりがある。それで良いと思うので、彼らに合わせて動くようにしていました。 なぜそうなるかというと、 人に占める左利きの絶対数が少ないからです。彼らの「独特な感覚」を引き出したほうが、チームにとってメリットが大きい。 稀少価値が高いので、指導者も左利きの選手は伸び伸びと育てるのかもしれません。 サッカーの本質的な部分はもちろん要求するのでしょうが、左利きの選手に「右足 のキックを練習しろ」という指導者はほとんどいないのでは。指導者になった僕自身も、右利きの選手には「左足も使えるようになったほうがいいよ」とアドバイスしますが、左利きの選手に「右足も使えるようにしたら」と何度も言ったりはしません。左利きにはそれ自体に大きな価値があり、その価値を損ねるようなことはしたくないからです。
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