なぜJリーグは史上最多入場者記録を更新したのか?
「JリーグID」の成功
Jリーグは10日に東京・文京区のJFAハウスで開催した理事会で、今シーズンの全主催試合における総入場者数が史上最多の1140万1649人に、トップカテゴリーとなるJ1リーグの1試合平均の入場者数が27年目で初めて2万人の大台を超えて、2万751人に達したことを報告した。 これまでの最高は、総入場者数が2017シーズンの1078万9107人、J1の平均入場者数が1994シーズンの1万9598人だった。今シーズンの主催試合は湘南ベルマーレと徳島ヴォルティスが対峙する、14日のJ1参入プレーオフ決定戦を残しているので、総入場者数はさらに増えることになる。 Jリーグにとって、総入場者数で1100万人をクリアすることは悲願のひとつだった。過去には2010シーズンに目標を成就させようと、4年間をかけて「Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト」と銘打たれた一大キャンペーンを展開したが、結果は864万5762人と遠く及ばなかった。 総入場者数には各カテゴリーのリーグ戦とYBCルヴァンカップ(旧ヤマザキナビスコカップ)だでなく、開幕前の風物詩FUJI XEROX SUPER CUPや日本国内で行われるACLも含まれる。一方で日本サッカー協会が主催に加わる天皇杯や、チャンピオンシップは対象外となる。 2010シーズンに比べればJ2のチーム数も増えて、J1参入プレーオフ(旧J1昇格プレーオフ)に続いてJ3も創設された。夏場にはヨーロッパの強豪チームを招くJリーグワールドチャレンジも開催されているが、総入場者数全体を押し上げたのはやはりJ1の入場者数となる。 昨シーズンと比較すれば、全306試合の合計が583万3538人から634万9681人と51万6143人もアップ。1試合平均が1万9064人から、前述したように2万751人へと増えている。もっとも、今シーズンのJ1は、これまでとは大きく異なる状況下で開催されてきた。 まずは群を抜く集客数を誇り、観客動員数をけん引してきた浦和レッズのトータルが、60万3534人から58万1135人へと減少した。加えて、ラグビーワールドカップが日本で開催された関係で、会場となった日産スタジアムを横浜F・マリノスが2ヶ月あまりにわたって使用できなかった。 今シーズンのマリノスは収容人員1万5454人のニッパツ三ツ沢球技場で5度、リーグ戦を開催している。7万2327人を収容可能で、優勝を決めた今月7日のFC東京との最終節ではJリーグ史上で歴代最多となる6万3854人が詰めかけた日産スタジアムと比べて大きく劣る。