2017年為替予想 USD/JPYは113で据え置き 不安材料はドル高と原油価格
2016年は年初から中国経済と原油安などで、為替相場は大荒れのスタートとなりました。2017年は英国欧州連合(EU)離脱手続き開始や米国ではドナルド・トランプ大統領新政権発足など、世界経済に影響を与えうる出来事が注目されています。大きな変革の年になりそうな2017年の為替の見通しについて、第一生命経済研究所の藤代宏一さんが解説します。 USD/JPY見通し(先行き12カ月)を113で据え置き、これをもって2017年のUSD/JPY予想とします。2017年のUSD/JPYは米経済の回復期待を背景に120を突破する場面が予想される一方、USD高による米経済への悪影響、新興国不安(含む人民元安)、原油価格下落が再発する可能性があり、そうした局面では105程度まで下落するでしょう。2016年と同様、年間の値幅はかなり大きくなりそうですが、中心的な予想は113が妥当と判断します。
2017年に予想されるUSD/JPY上昇・下落シナリオ
2017年に予想されるUSD/JPY上昇・下落シナリオは以下のとおりです。 <USD/JPY上昇シナリオ> ・新政権下で米経済の成長率が上向き、「強い米国・強いUSD」が正当化される。 ・FEDが「高圧経済」実現に向けて極めて緩やかな引き締め姿勢を貫くことで投資家の楽観が続く。 ・USD高とコモディティ価格上昇が併存し、新興国経済への不安が抑制される。 ・日銀が現行パッケージを維持した上で、株式市場・債券市場への介入を続ける。 ・中国の人民元相場、マクロファンダメンタルズ、各種金融環境が安定を保つ。 ・欧州諸国で「ユーロ離脱」が現実味を帯びないこと。 <USD/JPY下落シナリオ> ・新政権の政策不透明感が増幅し、米経済が減速する。 ・FEDが過度に楽観的になり、市場参加者の予想を上回る引き締めを断行する。 ・USD高によって米国の企業収益が蝕まれ、企業支出(設備投資・人件費)が減少する。 ・USD高・米金利上昇が新興国経済への打撃となり、2016年2月と同様の惨事を招く。 ・日銀がマイナス金利を深掘する、あるいは10年金利の誘導目標を引き下げる。 ・人民元相場の下落を起点に中国経済の不安が噴出。 ・欧州で「ユーロ離脱の国民投票」が現実味を帯びる。