2017年為替予想 USD/JPYは113で据え置き 不安材料はドル高と原油価格
懸念材料はドル高、新興国不安、原油価格の再下落
一方、USD高による米国経済への打撃、新興国不安(含む人民元安)、原油価格下落が再発することが十分に想定され、そうした局面では世界的株安の中でUSD/JPYは下落が想定されます。FEDが過度に景気を楽観視することで、米長期金利上昇・新興国通貨安が顕著になった時は特に警戒モードを強めるべきでしょう。
本邦投資家のようにUSD/JPY上昇を望む向きは、FEDの利上げ回数引き上げを歓迎しがちですが、すでに米金利上昇・USD高傾向が顕著になっている現段階において、その傾向に拍車をかけるようなシグナルは却って投資家のリスク許容度低下に繋がりかねないと判断されます。
それが引き金となって米経済が減速したり、新興国不安が惹起されたりすれば、「FEDの引き締め→円安」というストーリーは台無しになります。
リスクオフ下では、経常黒字・マイナス金利という逃避通貨の条件を満たすJPYが買われ易く、実際、2016年1月から2月中旬にかけてのグローバルリスクオフ局面ではそうした傾向が顕著でした。今回もそのパターンに陥る可能性に注意が必要です。筆者はUSD/JPY下値メドとして105程度を想定しています。
盲点はECBと日銀の追加緩和がないこと
当時との比較で中国経済の不安が抑制されていることは安心材料ですが、その反面、FEDの引き締め効果を減殺していた欧州中央銀行(ECB)と日銀の追加緩和(観測)がないことは盲点になりがちです。
2016年秋頃まではECB、日銀の追加緩和によって溢れ出た資金が米債市場に向かうことで米長期金利に低下圧力がかかり、それが間接的に米経済をサポートしていましたが、もはやそうした資金フローは期待できません。このことは、日米金利差拡大を通じたUSD/JPY上昇を意識させる一方、米長期金利上昇による引き締め効果をより強く意識させ、最終的にUSD/JPY下落要因になるとみられます。米経済への打撃、新興国不安が惹起されれば、USD/JPYは日米金利差拡大で説明できない下落を示すでしょう。