2017年為替予想 USD/JPYは113で据え置き 不安材料はドル高と原油価格
最後に日銀の金融政策の影響を考えてみます。日銀は2016年9月21日にイールドカーブコントロール、オーバーシュート型コミットメントを導入し、2%目標達成に向けた「長期戦」へと移行しました。10年金利を0%に誘導し、米金利主導の日米金利差拡大を狙うことでUSD/JPY上昇に繋げようという試みは目下のところ成功裏に終わっているように見えます。こうした取組みは少なくとも2017年一杯は続くとみられ、日銀はそのための技術的調整のみに終始するでしょう。これまで日銀は円高局面で「救世主」的な役割が期待され、実際、それに応えるような形で追加緩和を講じてきましたが、もはや追加緩和は見込まれません。 このようにUSD/JPYは米国主導の展開が見込まれ、FEDの金融政策次第で大幅な変動が予想されます。2016年と同様、年間の値幅はかなり大きくなりそうですが、現時点での中心的予想は113が妥当と判断します。また、今後、この予想に修正を加えるタイミングとしては3月FOMC前後が考えられます。その頃には3月FOMCにおける追加利上げの有無が市場の中心的な話題となっている可能性が高く、FED高官も、今よりもはっきりとしたシグナルを発することが見込まれるからです。そして、その頃にはトランプ新政権の経済政策も一部明らかになっていることでしょう。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。