「保育園に預けられて、かわいそうに…」働く母親を悩ませるデマに喝!元学長の指摘がスカッとした
「子どもが3歳になるまでは、母親の手で育てないと成長に悪影響」という「3歳児神話」や「小さいのに保育園に預けられてかわいそう」といった声は、共働きが当たり前となった現代でもなくならない。子どもを保育園に預けることは正しい選択なのか――人類の進化の過程から見えてきたものとは。※本稿は、出口治明『「教える」ということ 日本を救う、[尖った人]を増やすには』(角川新書、KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 女性は出産と同時に 愛情ホルモンを分泌する 人間は、ほかの動物と違って子育てに時間がかかります。時間がかかる理由はおもに2つあります。 【人間を育てるのに時間がかかる2つの理由】 (1)人間は、頭が大きくなり二足歩行をする動物だから。 人間は、ほかの動物にはない2つの特徴を有しています。「頭(脳)が大きい」ことと、「二足歩行をする」ことです。 二足歩行をするために骨盤が小さくなり、骨盤が小さくなったことで産道が狭くなりました。産道が狭い上に頭が大きいという2つの制約から、人間の赤ちゃんは正常分娩であっても、未熟児スレスレの状態で生まれるしかないのです。 ほかの動物は生後数時間で立ち上がりますが、人間の赤ちゃんがつかまり立ちをする目安は、生後8~11カ月といわれています。予定日に生まれても、人間はあまりに幼いため、すぐに立つことはできません。だから人間の女性は出産と同時に愛情ホルモン(オキシトシン)を大量に分泌します。これが母性愛の正体ですが、そうしないと赤ちゃんの面倒が見られないからです。 ほかの動物と違って、人間は成人になるまでに15~18年ほどかかります。つまり人間の子育てには、時間がかかるのです。
親の権利を一般に「親権」といいますが、子どもに対して親が何らかの権利を持っているという考え方は間違っていると僕は思います。 子育ては権利ではなくて親の義務であり、「親義務」もしくは「親務」と改称すべきです。 未熟児スレスレで生まれたわが子を一人前の大人にするのは、親の責務です。 親の権利は名前をつけることくらいで、後は、親は子どもを一人前に育てる義務ぐらいしかないというのが僕の意見です。また、親と子の関係は、たとえ両親が離婚をしても途切れるものではありません。その意味で、わが国の単独親権は先進国には例をみない歪んだ制度だと思います。 ● 父親が「育休」をとるのは 科学的に理にかなっている 東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二さんが、著書『パパは脳研究者:子どもを育てる脳科学』(クレヨンハウス)の中で書かれていますが、女性が出産する際には、脳内で「オキシトシン」というホルモンが大量に分泌されます。 オキシトシンは、別名「幸せホルモン」「愛着ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれていて、オキシトシンが体内で放出されると、母親は赤ちゃんと深い愛情で結ばれます。母親が子育てを厭わないのは、オキシトシンが分泌されているからです。