「着せられた濡れ衣をなんとか…」 岐阜・美濃加茂の前市長、名古屋高裁に再審請求
学校プールの浄水設備導入を巡り、業者から現金30万円の賄賂を受け取ったとして受託収賄などの罪で有罪が確定した岐阜県美濃加茂市の前市長、藤井浩人氏(37)が30日、無実を示す新たな証拠が見つかったとして、名古屋高裁に再審請求をした。申し立ての手続き後に記者会見した藤井氏は「一日でも早く事実ではない認定を覆し、着せられた濡れ衣をなんとか解消したい」と述べ、自らの潔白を訴えた。
一審無罪、二審の逆転有罪から約5年
確定判決の認定内容によると、藤井氏は2013年の市議時代、プールの浄水設備を市立学校に導入するよう市にはたらきかける見返りとして4月2日に市内の飲食店で設備業者から10万円を、同25日に名古屋市内の居酒屋で20万円を受け取った。 15年3月の一審名古屋地裁の判決は無罪だったが、検察側が控訴。16年11月の控訴審判決で、名古屋高裁は懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪判決を藤井氏に言い渡した。最高裁は翌17年12月、藤井氏の上告を棄却し、有罪が確定した。 藤井氏は有罪確定を受け、2期目の途中で市長を辞職。公民権を停止される中、大学の客員教授や地元国会議員の秘書を務めたりしながら事件を検証していた。
一審証人が「検事にだまされていた」と新証言
今回、あらためて結成された藤井氏の弁護団は、14年10月の一審公判で贈賄側業者の知人という立場で検察側証人として出廷したA氏とB氏から、昨年10月にそれぞれ聞き取りをした。 A氏は公判で、実際に設置された学校プールの浄水設備を業者と一緒に見に行った際、業者が「(藤井氏に)渡すものは渡した」と話し、A氏がその金額を尋ねると「30万円ぐらい」と答えたと証言していた。さらにその金の原資について、A氏は自分が業者に貸していた50万円だとしていたが、これは検察官から50万円の一部が「藤井氏の口座にすぐ入金された」事実があると取調べ中に告げられたからだった。 ところが、実際に藤井氏の口座にそのような入金はなく、確定判決でも賄賂とされる金は封筒に入れた現金で渡したと認定されている。 A氏は弁護団の聞き取りに対して、当時は検察官に話を合わせただけだったと明かし、「検事にだまされていた」「証人尋問の際に本当のことが分かっていたら、同じ証言はしなかった」などと憤慨したという。