「署名偽造は想定できない話」 愛知県知事リコール不正署名問題で名古屋・河村市長が弁明
名古屋市の河村たかし市長は22日、市役所で定例記者会見に臨んだ。アルバイトを動員した大量の偽造署名が発覚した愛知県知事リコール運動について、「署名偽造はどう考えても想定できない話」と自らの関与を否定。個人事務所(河村たかし事務所)もリコール運動の事務局とは「まったく別の存在」と主張しつつ、事務所が管理する約3万人分の名簿をリコール事務局に貸し出したことを認め、「それが不正に使われたことは今のところないと聞いているが、もう一回チェックしてもいい」などと弁明した。 「署名偽造は想定できない話」名古屋・河村市長が弁明 事務所名簿の貸し出しは認める 定例会見(2021年2月22日)
リコール事務局が「河村事務所とは関わるなという話になっていた」
河村市長は会見の場で「リコール署名事件 河村たかしからの説明責任について」と題した文書を配布。署名運動が始まった理由や経過を示した上で「河村たかしが署名の偽造に気がつかなかった理由」などを説明した。 河村市長によると運動の当初、リコール事務局内では会議内容などが河村事務所を通して外部に出るのを懸念して「河村事務所とは関わるな」との話になったという。そのため、河村市長や事務所はリコール事務局内部の情報から「隔絶されていた」と主張した。 一方で、河村市長が主導した10年前の市議会リコール運動時に署名を集めた受任者約3万人分の名簿は今回、河村事務所から知事リコール事務局へ貸し出され、その名簿を元にリコール事務局が郵送代を負担して受任者募集のはがきが出された。そのうち約3000人から受任者を引き受ける旨の返信があり、名簿は河村事務所に返却されたという。
不正署名は地番順に整理「河村事務所はそんな名簿を持っていない」
河村市長は、高須克弥院長が運動の終了を宣言する直前の昨年11月3日ごろ、スタッフから「同じような署名がある」と聞かされ「なんやそれと思った」と説明。当初は家族全員分の名前を書く程度かと考えていたが、区名から先が地番順(○丁目○番地1、○丁目○番地2…など)に並んでいるものが多く、「これはいかん署名だ」と分かったという。 その上で「そんな住民基本台帳のように地番の整理された名簿は持っていない」として、河村事務所の名簿が署名偽造に使われたことは否定した。ただしリコール事務局側とうまく連絡が取れず、確認はできていないという。 河村市長は佐賀県での偽造作業に関わった人物などはほぼ特定できているとして、「もうしばらくしたら分かるんじゃないか。その際にあらためて会見を開いて説明する」とした。また、今後の再発防止として「地方自治法の署名運動について民主主義を育てる方向での改正の必要性」を訴えた。 (関口威人/nameken)