J1仙台に電撃解雇した”道渕問題”余波…SNS上で誹謗中傷問題が発生
示談が成立しているとして道渕を釈放翌日の8日から練習に、20日からはリーグ戦に復帰させながら、写真週刊誌が発売された数時間後に契約を解除した経緯も然り。リリースでは「当クラブが認知していなかった事実など、クラブの秩序、風紀を著しく乱す内容が含まれていた」と説明されたが、報じられなければうやむやにされていたのかと、隠蔽を勘繰られるようなドタバタ劇となった。 当事者意識に著しく欠けている、と映った一連の対応もネット空間を刺激し、無関係の選手たちが攻撃される一因となったのではないだろうか。 誹謗中傷が確認されたその日に対応したスピード感は評価されるものの、経営陣のガバナンス能力には依然として懐疑的な視線が向けられている。 おりしも25日にはベガルタ仙台・市民後援会が主催する、サポーターズカンファレンスがオンライン形式で開催される予定になっていた。すでに参加希望者の受け付けも終了しているなかで、参加予定だった菊池社長の要望を受けて延期されたことが、21日に公式ウェブサイト上で報告されている。 前日20日の段階でベガルタ仙台・市民後援会宛に、菊池社長から書面で延期が申し入れられた。ベガルタ仙台・市民後援会の公式ウェブサイトでは、延期の理由として道渕の処分に関する対応に多くの時間が割かれている状況があげられていて、後援会としてもやむなしと判断したという。 地元仙台で生まれ育ったアカデミー出身の道渕が契約を解除された一件では、ベガルタのファン・サポーターも悲しい思いを募らせている。新型コロナウイルス禍で特別にオンライン開催となったとはいえ、これからもクラブを支えていく存在としっかりと向き合う機会を、日曜日の午後4時から1時間半という限られた時間にあてがうことも、果たして菊池社長には無理だったのだろうか。
今回のサポーターズカンファレンスのテーマは、2020年度決算で3億円あまりの債務超過に陥る見通しになっている、ベガルタの経営問題に限定されていた。そしてベガルタは先月26日から、ファン・サポーターやすべてのステークホルダーへ向けて「クラブ緊急募金」をスタートさせている。 クラブの存続をかけて募金を呼びかけた矢先に、看板選手でもある道渕をめぐる不祥事が週刊誌報道を介して表面化した。図らずも直面した困難な時期を乗り越えてあらためて協力をお願いできる場を、クラブと地域が一丸になって前へ進んでいく機会を、あえて遠ざけてしまった気がしてならない。 チームも逆境に直面した。 この日、湘南ベルマーレ対サガン鳥栖の試合がスコアレスドローに終わったため、ベルマーレに勝ち点13で並ばれ、得失点差で最下位に転落したのだ。 ベガルタは、開幕から22試合を終えた時点で、ホームのユアテックスタジアム仙台で依然として未勝利が続き、敵地でヴィッセル神戸を2-1で振り切った8月8日の一戦を最後に4分け9敗と実に13試合連続で白星から遠ざかっている。 もちろん、ピッチで戦う選手たちはファイティングポーズを失っていない。ベガルタでプロの第一歩を踏み出し、レッズ、セレッソ大阪をへて2018シーズンから再び古巣でプレーする34歳のMF関口訓充は、ベガルタのエンブレム画像を添付した自身のツイッターでこうつぶやいている。 「お疲れ様です! 試合に勝てなかったりいろいろな事がありサポーターのみんなも心配していると思います。全ての事を真摯に受け止めここから少しずつでも信頼を回復していけるように頑張ります。このエンブレムに誇りやプライドそして俺の気持ちをしっかりのせて頑張っていきたいと思います!」 ピッチで戦っている選手に罪はない。 J1に復帰した2010シーズン以降で最も順位が低かったのは2010、2014、2015シーズンの14位となっている。特例で降格がない今シーズンとはいえ、クラブのワースト記録を更新するわけにはいかない。