エミー賞最多ノミネート「SHOGUN 将軍」衣装制作秘話 作品を通じて深まる日本のファッション文化への理解とリスペクト
もちろん、主演の真田広之が演じた“虎長”の陣羽織をデザインするのもとても楽しかった。20種類以上の生地と縁取りを使い、紋章もペイントした。ある陣羽織は、何百枚もの孔雀の羽を手作業で下地の布に貼り付け、また別の陣羽織は、手作業でカットした革や木の小片を何十枚も組み合わせ、さまざまな色に染めた紐でくくりつけたりもした。役者が衣装から自分の役を感じられるよう、細部までこだわり抜いた。
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WWD:今回衣装を手掛けるにあたり、どのように日本の伝統衣装に「自分らしさ」を融合したのか?
カルロス:コスチュームデザイナーとしての私の仕事は、戦国時代のあらゆる側面を研究して理解し、融合すること、そして衣装を通じて登場人物の物語を伝えること。そのためには、観客が登場人物を理解できるように、特殊なカラーパレットや素材、人物の感情の構築をデザインに取り入れる必要がある。このプロジェクトに対する概念的なアプローチと、登場人物を深く理解することが、私独自の美学で自分自身を表現することにつながったと捉えている。
日本のファッション文化から受けた影響と次なるステージ
WWD:作品を通じて、日本のファッション文化からどのような影響を受けたか?
カルロス:これまでもずっと日本文化に魅了されてきたため、私の人生の中には“日本への憧れ”が長く存在している。「SHOGUN 将軍」の撮影を通して、私の中にあった日本の美学に対するリスペクトと愛は確実に深まり、私の視野を多くの新しい可能性へと広げてくれたと思う。
これまでの私は、広い視野でデザインをするという意味でとても概念的なデザイナーだったと思う。しかし信じられないほど才能があり、知識も豊富な日本人キャストと一緒に仕事をすることができたこの作品では、これまであまり気に留めなかったディティールにまで集中することができた。