あの大ヒット冷凍食品の開発の裏側を、メーカーの「作る人」が語り合う。
感動品質を実現する裏には、たくさんの技術的な苦労が。
山田 御社のチャーハンでいつも感動するんですが、このパラッと加減、本当にすごいですよね。僕は米飯担当ではないので細かいことはわかりませんが、きれいに米に吸水させているからこそ、なんですかね。 生子 チャーハンは“炒め感”というのが重要になってくるんです。凍ったものを溶かす時点で水分移行が起こるのですが、電子レンジで加熱した際その水分を吸わせた上でパラッとさせるというのが、本当に難しい。そこの製造過程は特に社外秘です。たぶん我が社だけでなく、各社そうだと思います。 山田 テレビなんかでも、絶対モザイクかかってますよね(笑)。 冷食のユーザー層を若者&男性にまで拡大した逸品。
生子 はい(笑)。御社のうどんの魅力はやっぱりなんといってもこのモチモチ感ですよね。この食感、大好きです。 山田 うどんのコシって、グルテンが水と結着し、そこに力を加えることで生まれる粘りなんですが、従来の冷凍うどんは、生地を一方向にしかのばしていなかったところ、「丹念仕込み 本場さぬきうどん」は、縦にも横にものばす独自製法です。それゆえ、より強いコシを出すことに成功しました。 強いコシともちもち&なめらかな食感の再現に感動。
生子 あと香りがいいですね。小麦のいい香りがします。 山田 味は香りからくるところもありますからね。でも香りでいったら、味の素冷凍食品さんもこだわりが強いですよね。「ザ★チャーハン」も、油を炒めた香ばしい香りが食欲をそそる。 生子 電子レンジで仕上げて皿に盛るときの、食べる前の瞬間から料理を楽しんでほしいので、香りは本当に重要だと思っています。 山田 食品は、凍らすことで物性が変わります。開発担当としては、凍結での変化と電子レンジ解凍による変化、そして、できたてを再現するには作り方や設備などどんなエッセンスが必要なのか、そのすべてを読み取った上で商品を構築するわけですが、思ったとおりの結果が出たときの、「よし!」という実感は、ひとつのやりがいですね。 生子 私は売り場でお客様が自分が関わった商品を手に取ってくれた、それを見たときというのがひとつのピークかもしれません。 山田 それもわかります。新規事業だと、早くても2年ほどかかりますからね、店頭に出るまでに。 生子 私はまだ、自分ひとりで新商品にゼロから関わったことはないのですが、もしそういった商品が店頭に出たら、我が子を見るような気持ちになるんでしょうね。手に取ってくださった方を目撃したら、握手したくなると思います。 山田 私も見ず知らずの方が目の前で「あ、これこれ!」とか言って商品をカゴに入れているのを見ると、心の中で拳を握りしめますから(笑)。 生子 ですよね!