あの大ヒット冷凍食品の開発の裏側を、メーカーの「作る人」が語り合う。
山田 弊社には「さぬきうどん」という看板商品があります。すでにたくさんの方々にご好評いただいているのですが、新たに冷凍うどんの新商品を考えるとなったとき、「本場の讃岐うどんを超えた美味しさを届ける」というコンセプトが上がってきました。弊社の商品をはじめ、市場には本当にたくさんの冷凍うどんがある。その中で「これは本物だ」と手に取っていただくためには、生子さんがおっしゃる“感動品質”がなければならないわけで……。 日本の冷凍麺のトップランナーが誇る3品。
生子 今までリーチしたことがなかった市場に商品を根付かせるって、本当に難しいですよね。開発の初期段階では、広い海の中で小さな正解を探すようなところからスタートしたらしく、その話を聞いたときには、きっとどの商品もこういった苦労の末に生まれたのだろう、と、先人に思いを馳せたりもしました。 山田 試作品ができた後、会社の上層部に試食をしてもらうじゃないですか。弊社は特に香川県出身者が多いので、本当にうどんに厳しい。味だけではなく、粉の配合、捏ねる水分の温度……さまざまなリクエストが上層部から出てきます。 生子 弊社の場合、味に加え、「なぜこの商品を作ろうと思ったのか」「どういう市場性があるのか」みたいなところを、とにかく根掘り葉掘り聞かれます。そこで明確な回答が出せないと、「この商品、本当に必要?」となる。商品化の道のりは非常に厳しいのですが、そういった工程があることで、買ってくださる消費者の視点でものを考えるということの大切さを、改めて実感させられました。
山田 特に、既存商品のリニューアルではなくゼロからの新商品になると、工場に新たな設備を入れる必要もある。本当に大きなプロジェクトですから。 生子 ひとつの新しい設備だけでも、大変な金額がかかることもあります。どれだけポテンシャルがあるのかどうかが明確にならないと、「既存のラインでがんばって」ということになるのは当然で。難しいですよね。