なぜ朝倉未来は「RIZIN」異色PPVマッチの萩原京平戦を前に「世界で戦えるのはオレだけ」「現王者は失格」と豪語したのか?
しかも、スパーリングの相手を務めたのは、ボクシングの元OPBF東洋太平洋&元日本スーパーウェルター級王者で、世界3位にまでになった細川貴之氏(36)だ。彼は朝倉が進めている別企画の「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」にも応募。オーディションを終えて最終選考メンバーにも残っているそうだが、「萩原君は、とにかくパンチが重くて当て勘がある。朝倉未来がどれだけ打たれ強いがわからないけれど、打撃勝負になると倒れちゃうんじゃないですか」と予想した。 ただ「組み、寝技」では、朝倉が断然有利。朝倉自身も「相手の得意なところで戦わず寝技に持ち込んで決めてもいい。オレが寝技で勝ったら面白いんじゃないか」と、寝技勝負も匂わせており、打撃戦で劣勢だと感じた場合に作戦をスイッチしてくることは十分に考えられる。 萩原は、その対策も練ってきた。 「組みついてきても切ることができる。そこから打撃を当てる練習をしている。どんな展開でも準備してきたものを出すだけで不安はない」 「組み、寝技」は、ブラジリアン柔術の日本人最年少での黒帯保持者で、柔術の大会でクレベル・コイケに勝利したこともある岩崎正寛氏(32)の指導を受け作戦も授かった。RIZINバンタム級トーナメントに参加した金太郎が「組み、寝技」のパートナーを務めてくれたという。 「注目度は凄い。ここで勝ったら今の景色よりもいい景色が見られる。絶対に負けられない」 萩原のモチベ―ションは高い。 また今回のもうひとつの注目ポイントは、RIZIN初のPPVを軸とした観客を入れないスタジオマッチにした点にある。海外のボクシング、総合格闘技で、昨年の新型コロナ禍に採用された興行パターン。朝倉も「面白い試み。(新型コロナで)大きな会場を借りるのも難しい状況だけに現代的でいい。選手もリングに上がる機会が増える。スター選手も少なくなっているし、その育成として、こういうところに力を入れるとすごくいい」と賛同している。 今回の試合を配信するU-NEXTが設定した視聴料は3800円(税込み)。海外では那須川天心とも戦った無敗の元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米)と人気YouTuberローガン・ポール(米)との異色マッチ、元ヘビー級統一王者、マイク・タイソン(米)の復帰戦となるエキシビションマッチが、いずれも49ドル99セント(約5500円)だった。それに比べてファンの間からは「高い」の声も出ているが、どれだけの視聴者数を稼ぎ、どんな評価を受けるのか。勝負の結末と同時に実験的な興行への関心も集まっている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)