なぜ朝倉未来は「RIZIN」異色PPVマッチの萩原京平戦を前に「世界で戦えるのはオレだけ」「現王者は失格」と豪語したのか?
6月のクレベル・コイケ戦で屈辱の失神1本負けを喫してから本格的にスタートしたトレーニングだ。 5人のチームが組まれており、フィジカルトレーニングはRIZINでレフェリーも務める和田良覚氏が担当、スタミナトレーニングは元K-1王者の魔裟斗氏や元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志氏らを指導してきた土居進氏、そこに栄養士と2人のキックボクシングのトレーナーが加わった最強布陣である。 これまではトライフォース赤坂でのスパーリングが中心の実戦形式の練習を1、2時間するくらいで、ランニングやフィジカルトレ、ミット打ちすら行ってこなかった。魔裟斗氏とのYouTube対談でインスパイアされ、才能だけで戦うことに限界を感じて28歳にして初めて取り組み始めた。土居氏が、何人ものファイターを追い込んできた”乳酸生産マシン”とも言われるパワーマックスや激しいラントレにも耐えた。 「試合よりもきつい練習をしたが慣れてきた。悔しい思いをしてリベンジしたい気持ちが強いから頑張れる」 減量も残り2キロ。これまでは直前の水抜きで3、4キロを落として、当日リングに上がる際に体重を戻していたが、トレーナー陣のアドバイスで、通常体重を71キロ台にキープした状態でトレーニングを続け、水抜きを少なくする方式に変えた。筋量を増やせば代謝がアップして、普段の減量が楽になり、試合で出力できるパワーもマックスとなる。 すべてが初体験。逆に言えば、そのノビシロは無限大。「ようやく変化が明確にあらわれてきた。打撃威力が上がった。とにかくスタミナがついた。今練習で強くなったと感じてるものの答え合わせをしたい」と、朝倉自身も格闘家としての肉体の変化に手応えを感じているのだ。 だからこそ夢を語る。。 「いろんなトレーナーが世界を狙えるポテンシャル、身体能力があると言ってくれる。練習をせずにここまできたのに数値が日本人離れしていると。この階級で世界と戦えるのはオレしかいない。そこを狙っていきたい」 RIZINバンタム級王者の堀口恭司が米国でUFCに次ぐ格闘技団体である「ベラトール」と契約を結んだが、朝倉兄弟が狙っているのも、UFCでありベラトールへの進出だ。 一方の萩原も史上最大のアップセットを狙っている。 「ワクワクしている。(朝倉は)今の格闘技界の顔役の1人。勝って、そのポジションに代わりたい。激しい試合になる。こっちは打撃戦しかやるつもりはない。それに付き合ってくれれば面白い。みんなが見たがっているバチバチの殴り合いの試合になると思う」 朝倉の「きつい展開」などのコメントを伝え聞き「そういう勝負になっても負ける気はしていない。最終的に気持ちの差で勝敗がわかれる」という覚悟を語った。 萩原は関西の地下格闘技でその名を轟かせ、2017年にDEEPでプロデビュー。昨年8月にRIZINに初登場すると白川陸斗をレフェリーストップによるTKOで下し榊原信行CEOを驚かせた。同9月のRIZIN.24では芦田崇宏に足元をすくわれ連勝とはいかなかったが、次の大会で、内村洋次郎を“秒殺”し、大晦日大会では、元K-1ファイター平本蓮と“舌戦”を繰り広げたのちに、試合ではマウントからのパウンドの嵐でTKO勝利を納めてリング上で朝倉戦の実現をマイクアピールした。 勝利イメージは出来ている。 「打撃で倒して、マットで寝転がっている朝倉未来にパウンドを2、3発打ち込んでレフェリーストップ」 実は、関西在住の萩原は、元3階級制覇王者の長谷川氏にパンチ技術の教えを受け、本来の武器である打撃を本格的に磨いた。朝倉をマットに這わせる秘策も授けられているという。