「一人で乗り越えられなくても、誰かの支えがあればできる」脳梗塞で倒れたラモス瑠偉が語る、復帰までの道のり
10月29日は「世界脳卒中デー」。世界脳卒中機構の結成を記念して制定された日で、各地で脳卒中予防の重要性が呼びかけられる。元サッカー選手のラモス瑠偉さんは、2016年に脳梗塞で倒れた経験を語る一人だ。発症当時は「足に力が入らず、歩くのも大変だった」という状態だったものの、懸命なリハビリの甲斐もあり、翌年にはサッカーの試合に出場できるまでに回復したラモスさん。リハビリの支えになったものは何だったのか、そして、病気を経て今思うことを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
体調の異変を感じてすぐ救急車を呼んで本当に良かった
――脳梗塞で倒れた時はどんな状況だったのでしょうか。 ラモス瑠偉: いつものようにベッドでうつ伏せで寝ていて、妻は隣で本を読んでいました。けいれんを起こしたのか、いきなり顔がパチパチしたんです。てっきり妻が私の顔を叩いたのかと思って「人の顔を叩くんじゃないよ」と言ったら「そんなことしてない」と言うんです。その時はムカつくなぁと思って寝たら、また顔がパチパチする。それで誰か人がいるんじゃないかと思って驚いてぱっと起き上がったんです。ベッドに座った瞬間、ベッドから落ちました。腕を動かそうとしても戻らない。そこでとっさにポルトガル語の汚い言葉で「なんで戻らない!なんで戻らない!」と言ってオロオロしてしまって。そしたら妻が電気をつけて、落ち着かせてくれました。 普段ならこれくらい治るだろうと思って救急車を呼ぼうという発想にならないのですが、その時は不思議なことに救急車を呼んだんです。救急車を呼んで本当に良かったし、それがすべてでした。 そのあとはもう意識がなくて、病院で目覚めた時は自宅の8階からどうやって下りたのかも覚えていませんでした。脳梗塞とわかってからはパニック。妻とか娘とか息子にはこのまま二度と会えないのかなって。 なんとか一命は取り留めたものの、モノを持てないくらい感覚も鈍って自由も利きませんでした。足を動かそうとしても動かないし、踏ん張ろうとしても倒れてしまうんです。