「健康診断は“家族を大事にしている”証」渡辺徹が2度の大病を経て変化した家族への思い
俳優や歌手、タレントとして、長年マルチな活躍を続けている、渡辺徹さん。2012年と2021年には、心臓の病気で手術・入院を経験。病気が発覚する前は、妻の榊原郁恵さんに「自分の体は自分が一番わかってんだから黙っとけ」と言ったこともあったが、2度の病気を経て「妻に対してどれだけかわいそうなことしてしまったんだろう」とすごく反省したという。病気になってからの現在に至るまでの心境の変化について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
「息切れがひどく、顔色も悪かった」それでも強がって病院に行かなかった
――渡辺さんは2012年に心臓の病気になられましたが、どのような症状だったのでしょうか。 渡辺徹: いわゆる心疾患の症状ですね。心臓にある3本の大きな動脈のうち1本が詰まっていたんです。でも、急に詰まったわけではなく、詰まった大動脈の代わりに毛細血管が血液を送ってくれていたこともあって大事には至りませんでした。すごい痛みが走ったとか、息ができないとかそういった自覚症状は全くなかったんですよ。 ――どんなきっかけで病気がわかったのですか? 渡辺徹: 地方公演が終わった後、「飲みに行こうぜ」と先陣を切って歩いていたのに、気付けば一番後ろを歩いていて「あれ?」と思ったのが最初でした。温泉街のロケで石段を登るときに息切れがして、10段も登らないうちに休憩させてもらったこともあった。年齢が上がったとは言え、元・アクションスターですから、これはおかしいなとは自分でも思っていたんです。 最初に気付いてくれたのは妻の榊原郁恵です。「顔色が悪いから病院に行ったら?」と言ってくれたんですが、自分でも不安に思い始めていたにもかかわらず強がって「自分の体は自分が一番わかってんだから黙っとけ」なんて言ってしまいました。 そのうち共演者からも「徹さん、顔色良くないですよ」とか言われ出して。妻も僕のスタッフを呼んで「渡辺を降板させます」と言い出したんです。舞台は自分の生業だと思っているから「勝手に降板させるとはなんだ!」と抗議したんですが、強制的に降板となりました。 休みになって安静にしていたんですが、体調がどんどん悪くなっていく。そこで、点滴だけ打ってもらうつもりで行った近所の病院で聴診器を当ててもらったら、救急車で大学病院に緊急搬送されてしまって。そこで初めて、病気だったんだと気づきました。 ――最初に病名を聞いたとき、すぐに受け入れることはできたのでしょうか? 渡辺徹: 受け入れるも受け入れないも、あれよあれよという間に大学病院の集中治療室に運ばれて処置が始まりましたから、受け入れざるを得ませんでした。ただ、もう大変な貧血で倒れる寸前ですと言われても、全く信じられなかったですね。 ――病気をきっかけに生活習慣も見直したのでしょうか。 渡辺徹: そうですね。実は、結婚式の日の体重が人生のピークで当時130キロあったんですが、結婚してから妻が食事のバランスを考えてくれたおかげで、徐々に痩せてはきていたんです。 ただ、家で三食食べる仕事ではないですし、地方公演やロケに行くと、背中に羽が生えたようにお酒を飲みに行ってしまう。とんかつだとかマヨネーズだとかカロリーが高いものが大好物。お肉なんか脂身が一番いい部位だと思ってましたから。そういった食生活が心疾患に関係していたのかもしれないなと今となっては思います。