小沢健二「90年代で止まったまま」「ファン相手のディナーショー」NHK出演で殺到した批判が的外れなワケ
11月18日放送の『tiny desk concerts JAPAN』(NHK)に出演した小沢健二について、様々な意見が飛び交っています。 【画像】90年代を代表する大ヒット曲『今夜はブギー・バック』
「90年代で止まったまま」VS「批判は幼い冷笑的な態度」賛否わかれる
きっかけは、X(旧Twitter)に投稿された批判的なポストでした。“サブカルスターだった90年代で時間が止まったまま、年齢を重ねたファン相手のディナーショーをする芸能人みたいになってしまって見ていられない”というもの。これに多くのネットユーザーが反応したのです。 “今の社会的な問題意識から大きな宇宙を語るのについていけない”とか、“ウサギの被り物をしていたのにも違和感を感じた”とか、批判に同調する人。 一方で、そういうオザケンを批判するのは幼い冷笑的な態度だという、若いファンのコメントもあり、長年のファンも共感しているようでした。 筆者も放送を見ていました。ウサギの被り物には多少面食らいましたが、まあそういうことをする人だよなとすぐに納得。 途中で挿入された詩の朗読や、メッセージ性の強い映像編集も、復帰後の活動を少しでも知っていればさもありなん。特に感動するわけでもなければ、否定的な感情を抱いたわけでもありませんでした。もっとも、筆者がそこまで熱心なオザケンファンでないのもあるのですが。 いずれにせよ、何か事を起こすたびに賛否両論を巻き起こすあたり、いまだ小沢健二の影響力は衰えていないと感じさせます。
独創性に富んだ演奏や曲のアレンジ
そのうえで、今回オザケンの被り物や演出、パフォーマンスにおける振る舞いについて批判的な意見が出たことには、少し違うのではないかと思っています。 というのも、演奏や曲のアレンジ自体はとても斬新だったからです。メッセージや被り物に象徴される最近の思想性を取っ払って聴けば(それは邪道な楽しみ方なのかもしれないのですが)、これまでの『tiny desk concerts JAPAN』(NHK)のなかで、最も独創性に富んだものでした。 『ラブリー』や『今夜はブギー・バック』などの90年代を代表する大ヒット曲が、ハープや木琴を交えて、和製カリプソといったサウンドで蘇(よみがえ)る。豊かな発想を軽やかに実現させるミュージシャンシップ。その一点だけを取っても、とても「90年代で時が止まっている」などとは言えません。小沢健二は現役のミュージシャンなのだということを雄弁に物語っていました。