「そんなわかりきった一般論はいらない!」 なぜ今ロジカルシンキングのアップデートが必要か
ビジネス思考の基盤ともいえるロジカルシンキング(論理的思考)の必要性がますます高まっています。一方、差異化やイノベーション、新たな価値創出を求められる昨今は、従来のロジカルシンキングだけでは対応できない課題も頻出。これまで身につけてきたロジカルシンキングをアップデートする必要も指摘されています。 本記事は、デロイト トーマツ コンサルティングで社員の人材開発に携わる望月安迪氏の著書『シン・ロジカルシンキング』から一部を抜粋、再編集し、ロジカルシンキングの新たな「思考の型」についてご紹介します。 【画像で確認】ロジカルシンキングの新たな「思考の型」とは?
■クライアント企業からの辛辣な一言 「そんなわかりきった一般論はいらない」 その言葉を聞いたのは、社内の新人研修でチームが中間報告のプレゼンをクライアント企業に対して終えたときだった。 デロイトの新人研修では、その研修プログラムの総括として、約2週間にわたるケースワークを研修期間の最後に行う。そこでは実在する企業に協力いただき、その企業に対して新人コンサルタント5~6人から成るプロジェクトチームを組み、経営課題に対する検討と提言を行う。
研修とはいえ、提言を行う相手は実際に事業を営んでいる本物の企業だ。いやが上にも緊張感が高まる。 このときのテーマは、スマートフォンを使った遠隔医療アプリの利用者をいかに増やすか、というものだった。デロイトに入社する新入社員はみな事前にロジカルシンキングなどの基礎スキルをよく学んでいるし、研修期間中でも自己研鑽に余念がない。 加えて、研修の限られた時間の中で少しでも提言の価値を上げるために、ギリギリまで議論を詰める気概も持っている。
チームは中間報告に向けて議論を積み上げ、自分たちの提言をまとめる枠組みとして「4P」を使ってみてはどうか、という話になった。 4Pというのはマーケティング施策を考えるうえで「Product 商品」「Price 価格」「Place 販売チャネル」「Promotion 販促活動」という4つの切り口を用いるフレームワークで、いまでは多くのビジネスパーソンに知られているものだ。 研修の場でフレームワークの使い方を覚えることはスキル育成のためにもよいと考え、「フレームワーク思考を身につけることを意識しながら、その切り口を使って考えてごらん」と僕も了承した。