繰り返し吐いてつらい「周期性嘔吐症候群」、見逃されすぎ? 「腸の片頭痛のようなもの」
診断と治療
診断では、似た症状を引き起こす可能性がある病気(消化管の閉塞など)を除外するために、上部消化管の内視鏡検査や画像検査(CTスキャンや超音波検査など)をする場合がある。 血液検査や尿検査も、診断の一環として行われる。ただし、診断の核となるのは病歴の詳しい確認だ。 「パターンを見極めることが欠かせないステップとなります」とレビンソール氏は言う。CVSの発作は一日のどの時点でも起こり得るが、ほとんどの場合は早朝に発生する。 中等度から重度のCVSと診断された人は、予防薬として、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、ノルトリプチリンなど)や抗てんかん薬(トピラマート、ゾニサミド、レベチラセタムなど)を日常的に服用することが多い。こうした薬は発作を完全に抑えるものではないが、発作の間隔を引き延ばしたり、発作の長さや重症度を軽くしたりすることを目的としている。 CVSを持つ多くの人で、嘔吐が始まる1時間ほど前に、腹痛、頭痛、頭がぼんやりとする感覚、震え、不安などが前触れ(前駆症状)として現れる。 「患者の70%は、発作を事前に察知できます」とレビンソール氏は言う。「発作が起きそうだと感じたとき、すぐに薬を服用できれば、発作を止められる確率は高まります」 患者には発作を止めるために、片頭痛に使われるトリプタン系薬、制吐薬(オンダンセトロン、プロメタジン、プロクロルペラジンなど)、鎮静剤(アルプラゾラムやジフェンヒドラミンなど)といった薬が処方されることがある。 発作が起こっている最中に経口薬を飲み込むのは難しいため、こうした薬の多くは、舌下、鼻腔スプレー、座薬などの方法でも使える。 多くの人はCVSの治療に2種類以上の薬を使っている。たとえば、コーエンさんは最近、発作予防のために三環系抗うつ薬を日々服用し、そのうえで、吐き気で目覚めたときに緊急で使える薬を用意している。救急救命室に運ばれる回数は以前より減ったものの、今も発作は年に1~5回起こるという。 「この病気のいちばん厄介なところは、何がトリガーとなって発作が起こるかがわからないことです」とコーエンさんは言う。 症状を和らげるために熱い風呂やシャワーを使う患者も多く、それを一日に何度も繰り返す場合もある。患者には、規則正しい睡眠をとる、食事と食事の間隔を長引かせない、瞑想など効果が証明されている方法でストレスに対処するなどが勧められる。 「この疾患を持つ人は大勢おり、治療は可能です」とレビンソール氏は言う。「こうした症状がある患者さんは、どうか積極的に声を上げてほしいと思います。改善する方法はあるのですから」
文=Stacey Colino/訳=北村京子