犬はいつ、どこで、どのように狼から進化したのか 犬の起源と歴史で今わかっていること
11月1日は「犬の日」、人類の最良にして最古の友との長い物語を科学でひもとく
イエイヌ(Canis lupus familiaris)の進化は長い期間にわたって起こった。その間、オオカミとイヌは交雑を続けたため、イヌ科動物の化石やDNAの分析は難しい。氷河期のオオカミとイヌの化石の中には、「初期イヌ(incipient dog)」と呼ばれるものがある。完全なオオカミでもイエイヌでもなく、その中間的な進化の初期段階のものだ。 ギャラリー:愛すべき犬たちとの幸せな瞬間 写真28点 初期イヌのうち、記録上最古の化石のものの1つは、1860年代にベルギーのゴイエ洞窟で発見された大きな頭蓋骨だ。この化石の年代は約3万6000年前で、現代のオオカミよりは先史時代のイヌに近く、旧石器時代のイヌとみなされている。 1975年には、シベリアのアルタイ山脈の洞窟で別の頭蓋骨化石が発見された。放射性炭素年代測定と解剖学的分析によると、約3万3000年前のものとされた。研究者たちは、イヌのようなこの頭蓋骨化石も、進化の初期段階にある「初期イヌ」と結論づけた。
家族の一員に
イヌの化石を分析すると、古代の人間とイヌの関係について多くのことがわかる。例えば、確認されている「最古のイヌの化石」である「ボン・オーバーカッセルのイヌ」は、1万4000年余り前のものとされている。このイヌの遺骨は、男性と女性の遺骨と共に、1914年にドイツのオーバーカッセルにある古代の墓から発見された。 ボン・オーバーカッセルのイヌは、実際には生後7カ月ほどの子犬だった。最近の調査により、このイヌはジステンパーという病気にかかっており、イヌが死ぬまで人間が世話をして看病していたと結論づけられた。 また、この化石は人間と共に埋葬されたイエイヌの最古の証拠でもある。単独か、他のイヌとか、あるいは人間と一緒かにかかわらず、イヌの埋葬は、実用的な目的で動物を飼うことを超えた、イヌと人間の親密さを示している。これは好意の表れであり、イヌが野生動物からかわいがられるペットへと変わりゆくことを暗示している。