繰り返し吐いてつらい「周期性嘔吐症候群」、見逃されすぎ? 「腸の片頭痛のようなもの」
かかりやすい人は?
CVSは誰でもかかる可能性があるものの、患者には子ども、女性、若い成人が比較的多い。 「CVSを持つ子どもの大半は、成長とともに症状が消えていきます」と、米クリーブランド・クリニック消化器疾患研究所の研究責任者アンソニー・レンボ氏は言う。「一方、成人の場合はそれほど明確な傾向はありません」 成人では、片頭痛と同じく、不安、うつ、パニック障害がCVSと併存している例が多い。また、これも片頭痛と同じく、CVSは家族内で遺伝する場合があると、レンボ氏は言う。さらに、この疾患は発作性疾患(てんかんなど)を持つ人々にやや多い傾向にある。 CVSを持つ人の中でも、発作のトリガー(引き金)は人によって異なり、特定が難しい場合もある。ストレスは一般的なトリガーだ。また、睡眠不足、月経周期に関連するホルモンの変動、旅行、乗り物酔い、激しい運動、病気や手術などの生理的なストレス源も同様だ。 「もともと消化器系が敏感な人は、CVSになりやすいと言えます」とベレス氏は言う。「心理社会的な誘因の影響を受けやすくなるのです」 マリッサ・コーエンさんは、2歳のころからCVSの症状に悩まされてきた。ときにはひどい嘔吐のために、胃が空っぽになり、胆汁が出てくることもあった。何年にもわたって検査を繰り返したにもかかわらず、コーエンさんがようやくCVSの診断を受けたのは8歳のときだった。 「両親も私も、もどかしい思いを抱えていました。どこか悪いところがあるとわかっているのに、正式な診断がなければどうすることもできません」とコーエンさんは振り返る。 彼女はしょっちゅう病院の救急室に運ばれ、そこで点滴を受け、吐き気止めの薬を処方された。薬をもらうとたいていは眠くなり、「目が覚めたときには、何事もなかったかのようにすっきりしています。まるで何かのスイッチが突然入ったり切れたりしているかのようです」と、今は21歳の大学生になったコーエンさんは言う。 CVSの患者は一般的に、年に2~4回の発作を起こす。しかし、「人によって重症度に大きな幅があります」とレビンソール氏は言う。 米国消化器病学会によると、発作が年に3回以下で、それぞれの発作が2日以内に収まれば軽度のCVSとみなされる。年に4回以上の発作があり、それぞれの発作が2日以上続き、救急外来の受診や入院が必要であれば、中等度から重度とされる。