なぜ中日根尾の「1番・ライト」プロ初スタメンは”3タコ”のホロ苦デビューに終わったのか?
中日の根尾昂(20)が4日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に「1番・ライト」でプロ入り初のスタメン出場を果たしたが、3打数無安打に終わり8回に代打を送られた。7回まで無失点に抑えて3勝目をマークした井納翔一(34)のストレートについていけないホロ苦デビューとなったが、積極的にスイングを仕掛け、守備では好スローイングを見せるなどポテンシャルの高さをアピール。1軍昇格即スタメンで起用した与田剛監督は、試合後、「これからもどんどん使っていく」と明言した。根尾は、この日も、完封負けするなど得点力不足に悩む中日打線の救世主になりえるのか。
井納は”トラウマ”から根尾を警戒していた
「1番・ライト・根尾」のアナウンスに制限人数ギリギリの4986人が詰めかけたハマスタがどよめく。 与田監督は、迷わずスタメンに根尾の名を書き入れた。昨年のドラフト1位のルーキー石川昂弥の1軍昇格時も、即スタメンで使ったが、下からの推薦で昇格させた選手を“熱いうち“に起用するのは、薫陶を受けた故・星野仙一氏流である。 「状態もいいですし、先頭バッターとして長打力もあります。相手チームに与える印象もそうですし、(1番なら)打席も数多く回るでしょうから、いろんなチャンスが回ってくればいいなという思いもありました」 与田監督が根尾の1番起用理由を明かす。 根尾は、ファームでは6試合連続ヒットを続け、7月29日のオリックス戦では、1試合2本塁打、6打点の結果を残していた。 注目の第1打席。初球はボールになるフォークボールだった。 2球目は外角低めへの148キロのストレート。根尾のバットは空を切ったが、思わず左膝をつくほどのフルスイングだった。3球目も、ほぼ同じ場所へ149キロのストレート。根尾のスイングは片手になった。想像以上に速く感じた井納のボールに対応しようと、体の開きが早くなり、外角のストライクが遠くに感じたのだ。追い込んだ井納と嶺井博希のバッテリーは遊ばなかった。最後はインサイドにズバッ。根尾は148キロのストレートに腰を引いていた。 プロの洗礼を浴びせた井納だが、この第1打席に最大の注意を払っていた。 「今年の沖縄キャンプのファームで根尾と対戦があり、初球の真っすぐをライト前に打たれた。そのときも(キャッチャーが)嶺井だったので(試合前から)『(根尾は)1番バッター。それだけは避けよう』と話していた。正直(打たれたら大々的に報道されるという)メディアに関しての意識ではなく、1打席目をなんとか抑えることだけを考えて投げた」 根尾の潜在能力の高さを知っているから初球はフォークだった。34歳のベテランがプロ2年生の根尾に最大のリスペクトを示して封じこめにきていた。こういうピッチャーにスキはない。