なぜ中日根尾の「1番・ライト」プロ初スタメンは”3タコ”のホロ苦デビューに終わったのか?
根尾は3回一死からの第2打席も井納に手玉に取られる。 初球はまた外への147キロのストレート。今度はファウルにしたが、2球目に膝元にカットボールで変化をつけられてはついていけない。空振り。2球で追い込まれて、最後は余裕の釣り球。見送ればボールになる高めの147キロのストレートに引っかかりポーンと打球を打ち上げてしまう。三塁フライ。 第3打席は5回二死二塁の得点機に回ってきた。だが、井納はより慎重に攻めてきた。初球はフォークである。根尾のバットは空を切り、2球目もフォーク。今度はボールにかすったが、また2球で追い込まれた。3球目の釣り球には、引っかからなかったが、サインにクビを振った井納が選んだウイニングショットは、外角高めの147キロのストレート。そこは根尾が得意とするコースだったが、そのスイングは波を打っていた。打球はセカンドベース寄りに守っていたショート柴田竜拓の正面。8回に一死から第4打席が巡ってきたが、この回から横浜DeNAは2番手の左腕、石田健太にスイッチしていたこともあって、与田監督は、「いろんな戦術の中であそこは代打を出しました」と、代打の堂上直倫を送った。 根尾の2020年の初戦となるプロ初スタメンはホロ苦い3タコに終わった。 「ヒットを打ちたかったですが。次は絶対に打ちたいと思います。次、打てるように準備していきます」 根尾はポジティブに前を向いた。 1年下の後輩、石川と岡林勇希に先を越された。やっとつかんだチャンスに焦りもあるのだろう。チームも6安打完封負け。打てなかったのは根尾一人ではない。 根尾のバッティングを試合前練習から見ていたが、バットが遠回りするので前でボールをさばくことができず、どうしても井納のような1軍レベルのストレートには押し込まれる。打てるポイントが限られるのだ。しかも、フルスイングを仕掛けるので、動作に反動を使い、左肩が先に動く。フォークのような変化球には体が突っ込むという状態になる。キャッチャーがよく口にする「打者の体を前に出させる」という崩れが簡単に生じるのだ。この形では、配球を読んで狙うストレートか、甘く入ってくる変化球しか打てないのかもしれない。しかも、まだプロとしては線が細い。ここから残り80試合、根尾がレギュラー争いを続ける姿を想像することは難しい。